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~ 楽在一碗中 ~
『定本 樂歴代』出版記念 樂歴代名品展

『定本 樂歴代』出版記念 樂歴代名品展

樂歴代とニューフェイス

樂美術館

樂美術館

京都・樂美術館にて「『定本 樂歴代』出版記念 樂歴代名品展」を拝見しました。

樂美術館は1978年に樂家十四代覚入(大正7(1918)~昭和55(1980))によって設立され、樂家に伝わる樂歴代を中心にした茶道工芸美術品や古文書等を収蔵しています。

今回は、『定本 樂歴代』出版記念ということで樂歴代が手本として学んだ樂家伝来の茶碗を展示していました。

一階には樂歴代の作品が並びます。入り口の正面のショーケース、通常は樂吉左衞門氏の作品が置かれることが多いのですが、今回は吉左衞門氏のご長男の篤人氏のたっぷりとした赤樂茶碗が置かれていました。篤人氏は次代後継者としての名跡「惣吉」を名乗っています。

展示のキャプションには吉左衞門氏の言葉で「伝えることは教えないこと。自分自身で長次郎茶碗と向き合い、歴代の歩んだ伝統を検証すること。そこから自分自身の創造を立ち上げること。」とあり、篤人氏のこれからの道のりの厳しさに思いを馳せました。

一連のショーケースには二代常慶の香炉釉井戸形茶碗から三代道入赤樂筒茶碗「破れノンコウ」と続き、十四代覚入赤樂「樹影」、十五代吉左衞門の赤樂「花仙」まで並べられていました。

これらの茶碗を拝見すれば、各歴代の特徴を学ぶことができそうです。

中二階に上がると端午の節句ということか武者人形に迎えられ、ここには茶碗でなく、宗慶の水指や一入・了入らの花入や長入の香合が展示されていました。

二階がメインの展示となり、一方のケースには、長次郎 黒樂茶碗「万代屋黒」 と 本阿弥光悦 白樂筒茶碗「冠雪」が、もう片方のケースには、十五代吉左衞門 黒樂茶碗「秋菊」が向かい合う形で展示されていました。

侘びの極みの長次郎「万代屋黒」、自由闊達の光悦「冠雪」、そして長次郎の侘びと光悦の革新性を兼ね備えた吉左衞門氏「秋菊」とどれも素晴らしくしばし見入ってしまいました。

そして今回の展覧会の大きなニュースは、十六人目の樂歴代になるであろう、樂篤人氏の出品です。(実際に拝見したのは初めてです)久々の新メンバーの参画で、フレッシュで新しい感性の作品を期待しています。

 

展覧会情報

樂美術館

名称
『定本 樂歴代』出版記念 樂歴代名品展
会場
樂美術館(京都市上京区)
会期
2013年3月9日~2013年7月7日
公式サイト
http://www.raku-yaki.or.jp/

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