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襲名二十周年記念 十六代大西清右衛門茶の湯釜展

襲名二十周年記念 十六代大西清右衛門茶の湯釜展

日本橋三越 襲名二十周年記念 十六代大西清右衛門茶の湯釜展
「襲名二十周年記念 十六代大西清右衛門茶の湯釜展」を日本橋三越にてを拝見して参りました。

日本橋三越では5年ぶりの個展です。

個展のパンフレットに襲名二十周年を迎えて 「この節目に改めて家祖の仕事を見つめ直し、自らの代で成すべきことを問いました。先祖から受け継いだのも、初めて試みたもの。新たな釜の魅力をお伝えできれば幸いに存じます。」 とありますように、古典的な釜から斬新な釜まで数多く出展され、大西氏の気合いが伝わってきます。

会場の入口には、鶴の釜と霰乙御前釜の釜が迎えてくれます。どちらも釜の造形美の到達点だと思います。

鶴の釜は二代大西浄清が本歌で、鶴が羽を広げた姿が見事に釜と融合しており、霰乙御前釜は、一つずつ手作業で押した霰の美しさに思わずため息が出てしまいます。

日本橋三越 襲名二十周年記念 十六代大西清右衛門茶の湯釜展
会場に入りますとほの暗い中で、釜その他の作品がスポットライトに浮かび上がり、茶席がないこともあり、落ち着いた雰囲気です。

2013年京都グラフィーで大西氏が撮影した写真がパネルとして展示されていました。

今回出品された作品は、釜、水指、茶杓、花入、蓋置、建水、菓子器、炭道具、煙管と種類も多く、見どころがたくさんあります。

主な釜は次のとおりで、この他にも入口にありました、鶴の釜や霰乙御前釜、織部筋釜、舵鐶付釜、四方口釜 唐銅八角鬼面風炉、猿候釜、末広釜、海老ノ釜、等様々な作品がありました。

・福寿釜
「福」という字が百種類の字体で鋳込まれていまして、八景釜とともに新作です
・八景釜
瀟湘八景を描いた釜
・仙人釜
仙人のユーモラスな姿が鋳込まれている釜
・鵝眼釜
「鵝眼」とは、円に四角い孔のある形が鵝(鵞鳥)に目に似ていることからつけられた銭の異称で、昔の銭の形を模したもの
・かどぐち釜
伏見城の門扉の蝶番を鐶付とし、古釘を用い、さらに現代の鉄と古今の融合を果たした作品
・市女笠釜
市で商う女性がかぶっていた笠を模した釜です
・源氏香透八角釜
本体に源氏香図を透かした八角の折羽を一体化した大変複雑にして優美な釜
・篝火瓶掛
かがり火を盛る篝を模した瓶掛で珍しいもの
・皐月釜
銅鐸のような形に麻糸の房をあしらった、茶道家の千種さつき氏をイメージした釜

以下、主な作品を名前のみ挙げます。

水指:釣瓶水指、唐銅日月水指
茶杓:南鐐茶匙、南鐐中節
花入:鶴首花入、曽呂利花入、唐銅末廣花入、唐銅沈金瓢形花入、唐銅経筒花入
蓋置:南鐐笹蟹蓋置、籠目蓋置、鐵五徳蓋置、一葉蓋置、南鐐三ツ人形蓋置、重松蓋置
建水:三盆入建水、尊形建水
菓子器:南鐐鍬形菓子器、南鐐四方盆、南鐐銘々皿
炭道具:風炉灰杓子、少庵形桑柄灰杓子、鉄素張針ノ目風炉火箸、桑柄炉火箸、鍮火箸、鐶(多数)、五徳
煙管:南鐐煙管

さらに今回は、次のように大西氏のギャラリートークがあり、分かりやすく釜の活きた知識を勉強することができ、大西氏の現在を知ることができます待望の展覧会です。

10月8日「釜の歴史:京釜とは」
10月9日「釜の肌と紋様」
10月10日「やつれと覆垂-名残の季に見る-」
10月11日「釜の扱い:釜の修理、修復」
10月12日「釜の蓋のはなし」
10月13日「釜の音-鳴り音の愉しみ-」

 

●展覧会情報

襲名二十周年記念 大西清右衛門茶の湯釜展
日本橋三越(東京都中央区)
2014年10月8日~2014年10月14日
http://www.seiwemon-museum.com/j/2014mitsukoshi.html

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