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~ 楽在一碗中 ~
没後20年 ルーシー・リー展(千葉市美術館)

没後20年 ルーシー・リー展(千葉市美術館)

「お茶」を感じるイギリスの器

没後20年 ルーシー・リー展

千葉市美術館にて「没後20年 ルーシー・リー展」を拝見して参りました。
ルーシー・リー(1902-1995)の回顧展としては5年ぶりで、今回は茨城県陶芸美術館、千葉市美術館、姫路市立美術館、郡山市立美術館、静岡市美術館と巡回します。

作品は年代順に展示されていまして、まずリー氏が陶芸を習い始めた頃の作品を拝見します。
一見して拙い印象を受けます。形は湯飲みのような筒状で釉薬ものっぺりしていて、面白みに欠けています。
それでも幾つかの釉薬を使おうとして、リー氏らしさが生まれようとしています。

その後、生活のために作ったとされる陶器で作ったボタンが並びます。
さまざまな形があり、また多くの種類の釉薬を使っていたことに惹かれます。
この経験を通じて、リー氏は釉薬の豊富な知識を得ました。

第二次大戦後、ハンス・コパー(1920-1981)と出会い、リー氏らしい作品が作られ始めます。

リー氏が多く作った鉢でまず目を引くのは、蓮の葉が開いてうねるような形が素敵な斑文大鉢です。
花器は、円筒花器と呼ばれる、筒状の胴の上にアサガオの開いた細い筒を繋げた形がユニークです。

小ぶりな鉢は抹茶茶碗に見立てられます。ピンク線文鉢は開いた口がすっとつぼまり、細い高台がお洒落で、ピンクに抹茶が映えそうです。
間近で拝見しますと本当に薄作りということが分かります。

さまざまな釉薬を使いこなすのもリー氏の特徴です。
荒々しい溶岩釉を始め、銅色のブロンズ釉、マンガン釉、黄釉、白釉、ピンク釉・・と続きます。

文様は、掻き落しという手法を使っています。これは二重に塗った釉薬を針のようなもので上の釉薬を削って文様を描くものです。
これにより細い等間隔の直線や同心円、網目といった幾何学文様の作品が数多く展示されていました。
変わった文様は、葉文鉢という木の葉を描いたものがありました。これは古代ローマの墓石にあった文様で、リー氏が魅了されて作ったとあります。

今回、特に惹かれましたのは、白い釉薬の鉢に水色の釉薬で同心円の細い線を描いている、白釉青線文鉢です。
とても美しく、カラフルな果物を置いたら似合いそうです。

リー氏は、日本の茶道を意識したことはないようで、形も釉薬もお茶で使う器とはだいぶ違いますが、それでも「お茶」を感じる器もあり、不思議なことと思いました。

また会場には、リー氏を撮ったビデオを上映していて、ロクロで形を作り、掻き落しで文様を描き、窯から焼きたての作品を取り出す様子を拝見できました。
 
没後20年 ルーシー・リー展
 

●展覧会情報

没後20年 ルーシー・リー展
千葉市美術館(千葉県千葉市)
2015年7月7日~2015年8月30日
http://www.ccma-net.jp/
 

●関連書籍

ルーシー・リー&ハンス・コパー 二十世紀陶芸の静かなる革新
ルーシー・リー モダニズムの陶芸家
ルゥーシー・リィー 現代イギリス陶芸家
ルーシー・リーの陶磁器たち
ルーシー・リー
 



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