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~ 楽在一碗中 ~
三井伝世の至宝(三井記念美術館)

三井伝世の至宝(三井記念美術館)

三井名品の同窓会

三井伝世の至宝(三井記念美術館)

三井記念美術館にて、「三井伝世の至宝」展を拝見して参りました。
今回は現在も三井家が所蔵している名品に加え、現在は三井から離れ、他の美術館等の所蔵となっている名品・優品も併せて展示されています。

最初に訪れた第一室は展覧会の顔であり、今回は古銅龍耳花入、北野肩衝、鸞天目、三好粉引らが迎えてくれました。
名品に次ぐ名品揃いで、とても全部書ききれず、抜粋に抜粋を重ねて報告致します。

唐物肩衝茶入 北野肩衝:大ぶりで肩の線がくっきりとしており、釉薬の流れが美しいです。

粉引茶碗 三好粉引:肌は侘びていて、釉の掛け残しが絶妙です。

赤樂茶碗 銘鵺:意外と大きく手持ち感がよさそうで、お茶のためにお茶碗だと思いました。

釘彫伊羅保茶碗 銘秋の山:狙ったものかどうかべべら口が美しいです。現在は湯木美術館蔵。

色絵鱗波文茶碗:仁清作で、なまこ釉の掛け流しと鱗文のバランスが見事です。現在は北村美術館所蔵。

虚空蔵菩薩像:気高く慈愛に満ちたお姿に思わず頭が下がり、また救われる気がします。現在は東京国立博物館所蔵。

熊野御幸記:藤原定家が熊野詣でする折に書き記した日記で、清書ではなく走り書きのメモのようです。くちゃくちゃっと書いたり訂正した箇所もあり、定家を身近に感じることができ、新鮮でした。
「定家様は、美しいだけでなく早く書くための書法である」と読んだことがあります。

志野茶碗 銘卯花墻:如庵写しの茶室に展示されていました。同じ志野茶碗でも端正な広沢と違い、背が高くゆがみがあります。ゆっくりと薄茶をいただいてみたいです。

色紙:三色紙と呼ばれる、継色紙、寸松庵色紙、升色紙が並んで展示しており、驚きました。

刀剣・能面:最後の展示室では、お茶の展覧会ではあまり拝見しない、刀剣と能面が展示されていました。どちらも静かな迫力がありました。

雪松図屏風:最後は正月に向けて縁起の良い、円山応挙作の雪松図屏風です。和紙の地を活かした白がまぶしく、風通しの良い絵だと感じました。

展示されている名品だけでも充分と思うところ、さらに図録を拝見しますと、この名品、あの名品も三井が所蔵している・していたのだということが分かり、芸術・文化の大コレクターである三井家の凄さを再認識しました。

三井伝世の至宝(三井記念美術館)

●展覧会情報

三井伝世の至宝
三井記念美術館(東京都中央区)
2015年11月14日~2015年1月23日
http://www.mitsui-museum.jp/index.html




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