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~ 楽在一碗中 ~
日本の美・京のみやび 永樂歴代と十七代永樂善五郎展(日本橋高島屋)

日本の美・京のみやび 永樂歴代と十七代永樂善五郎展(日本橋高島屋)

茶陶の美を一堂に

永樂善五郎展

日本橋高島屋にて、「日本の美・京のみやび 永樂歴代と十七代永樂善五郎展」を拝見して参りました。

当代の永樂氏の個展は何年かおきに開催されますが、永樂家歴代の作品を一堂に集めた展覧会はなかなかなく、貴重な機会です。

会場に入りますと、当代襲名前の作品から始まります。
パリで個展を行った大きい花入「金銀彩花入」や「金銀彩偏壺」は、デザインと色遣いからエジプトを連想させる現代アートのような作品でした。

続いて、永樂家歴代の作品が並びます。

永樂家の初代善五郎(宗禅)(-1558年)は、武野紹鴎の土風炉師として始まり、千宗旦との交流のあった四代善五郎(宗雲)(-1563年)の時代より千家茶道との交流を深め、代々千家の土風炉師を務めていました。それが十代善五郎(了全)(1770-1841年)、十一代善五郎(保全)(1795-1854年)より茶陶作りを始め、千家十職の一人として、当代十七代まで続いています。

歴代の作品で特に心に残りましたのは次のとおりです。

・覚々斎好 達磨堂釜風炉 ・・六代宗貞(-1653年)
・唐津蘆瀑写水指 ・・十代了全
・金襴手葵御紋茶碗 ・・十一代保全
・日之出鶴茶碗 ・・十一代保全
・秋草香炉 ・・妙全(十四代得全の妻)(1852-1927年)
・金砂子海松貝茶碗 ・・十六代即全 (1917-1998年)

どれも美しく、茶席の華やかさを演出してくれる茶道具です。

そして当代永楽氏の襲名後の作品が並び、歴代よりもさらにバリエーション豊かで、華やかな作品ばかりでなく伊羅保といった侘びた茶道具も作っています。

ここで特に心に残りましたのは作品は次のとおりです。

・金襴手波濤鶴茶碗 名「天外」
・而妙斎好 青交趾若松茶碗
・伊羅保茶碗
・交趾竹食籠

その中で驚きましたのが、表千家家元の初釜の濃茶席に使われているという干支に因んだ水指で、次のような作品が展示され、伝統的な茶道具というよりも、現代アートと言えるような自由自在な造形でした。

・瑠璃交趾子袋担水指・・砂金袋を小さな鼠が担いでいます
・交趾寅水指・・水指全体が虎の頭部です
・竹生島水指・・水指から兎の顔と耳が飛び出しています
・龍爪七宝水指・・宝珠と宝珠を掴んだ龍の手の水指です

この他にも、午、巳、猿、酉、戌を大胆にデザインした水指が並びました。

当代永樂氏の豊かな創作意欲が感じられ、さらにご子息の永樂陽一氏(1972年-)も作品を発表し始めており、永樂家のますますのご活躍が期待できる展覧会でした。

 

●展覧会情報

日本の美・京のみやび 永樂家歴代と十七代永樂善五郎展
日本橋高島屋(東京都中央区)
2016年3月2日~2016年3月14日
http://www.takashimaya.co.jp/

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