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~ 楽在一碗中 ~
釜のかたち PART II(大西清右衛門美術館)

釜のかたち PART II(大西清右衛門美術館)

自由闊達なかたち(続)

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大西清右衛門美術館にて、「釜のかたち PARTⅡ」を拝見してまいりました。これは前回展覧会の「釜のかたち PARTⅠ」の続編で、さらなるバリエーションの茶釜が登場致します。

今回惹かれました作品は次のとおりです。

・車軸釜:二代浄清作、六代浄元作
  ・・名前はどちらも車軸釜ですが、浄清は腰の下が大きく張り出しており、浄元は腰のみが張り出していると形が異なります。浄元は浄清の車軸釜を知っていた可能性もあり、元にした「車軸」を変えたのではと想像できます。

・傘釜:初代浄林作
  ・・表面につぶつぶがあるように見えます。展示解説には、「(このつぶつぶである)まだら文様は笠にうちかかる雨の滴と見えるようである。鋳上がった釜を真っ赤に焼いて酸化皮膜をはがして作った」とありました。さらに大西家の軍配扇の紋のついた古い笠も展示されていました。

・播知釜:天明
  ・・土井宗雅が天明8年に龍光院で拝見したとの記録があり、使った日付や場所が分かる珍しい釜です。

・切子釜:西村道也作
  ・・切り子細工からヒントを得たようで、三角形を組み合わせて立体の釜を構成しています。そのシャープさから現代アートのようです。

・二口釜:十代浄雪作
  ・・釜の口が二つあり、中も二つに区切られている大変珍しい釜でこれ以外拝見したことがありません。二つの種類の水を入れて味わったり、片側を蒸し器にしたりしたそうです。実際、美術館のお茶会で片側でじょうよまんじゅうを蒸して席中に出し、大好評でした。

・蓬莱山釜:西村道仁作
  ・・中国の想像上の山である蓬莱山を象り、興味深いのは蓋を挟んで穴が開いている山の頂上が二つあり、お湯を沸かすとこの頂上(噴火口?)から湯気が出てきます。茶席で使われていることを想像しますと、皆さまの驚きの声と歓声が聞こえるようです。注文主からの依頼でしょうがどのような発想でしょうか。
 
 
また釜だけでなく、清巌宗謂(1588-1661年)筆「鉄槌舞春風」も展示されていました。鉄の槌が風に舞うとは、何となくユーモラスな情景です。もしかしましたら清巌宗謂は同時代の初代浄林(1590-1663年)や二代浄清(1594-1682年)のために筆をとったのかも知れません。

 
 

●展覧会情報

釜のかたち PART II
大西清右衛門美術館(京都市中京区)
2016年3月12日~2016年6月26日
http://www.seiwemon-museum.com/

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