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~ 楽在一碗中 ~
茶の湯の継承 千家十職の軌跡展 (日本橋三越本店)

茶の湯の継承 千家十職の軌跡展 (日本橋三越本店)

茶の湯の継承 千家十職の軌跡展 (日本橋三越本店)

十職縁の展覧会

三越日本橋本店にて「茶の湯の継承 千家十職の軌跡展」を拝見して参りました。
大正12年(1923年)5月に三越大阪店にて、「千家十職茶器陳列会」が開催され、そこで「千家十職」と命名されました。それから90年余が過ぎ、再び三越で十職の作品が一堂に揃うことになります。

会場には、十職の初代から当代までの作品がぎっしりと並び、圧倒されました。十職それぞれの個展や歴代展はありますが、全員の歴代展というのは記憶になく、一度に拝見できる貴重なチャンスです。

十職とそれぞれ心に残りました作品は次のとおりです。

永樂家(土風炉・焼物師) 当代十七代善五郎
 達磨堂釜土風炉 覚々斎好 六代宗貞作
 交趾釉踊桐文道安形小風炉 十一代保全作
 金襴手葵御紋茶碗  十一代保全作

樂家(樂焼・茶碗師) 当代十五代吉左衞門
 黒樂茶碗 銘禿 初代長次郎作
 黒樂茶碗 銘万代屋黒 初代長次郎作
 黒樂茶碗 銘比良暮雪 五代宗入作
 黒樂茶碗 銘遠山無限 坐忘斎書付 十五代吉左衞門作

大西家(釜師) 当代十六代清右衛門
 笠釜 銘時雨 初代浄林作
 鶴ノ釜 二代浄清作
 責紐釜 如心斎好 六代浄元作
 舵の釜 坐忘斎好 十六代清右衛門作

飛来家(一閑張細工師) 当代十六代一閑
 菊香合 初代一閑作
 亀蔵棗 十四代一閑作

土田家(袋師) 当代十三代半四郎
 コマツナギ緞子服紗 惺斎好 十代友湖作
 雲紹巴仕服 即中斎好 十二代友湖作
 七色緒網訶梨勒 鵬雲斎好 十二代友湖作
 
中村家(塗師) 当代十三代宗哲
 凡鳥棗 藤村庸軒好 初代宗哲作
 柳桜蒔絵棗 好々好 十一代宗哲作
 溢梅解香合 五代宗哲作
 四季誰が袖棗 即中斎好 十一代宗哲作

黒田家(竹細工・柄杓師) 当代十四代正玄
 竹一重切花入 銘帰雁 初代正玄作
 ゴマ竹張手桶水指 即中斎好 十二代正玄作

奥村家(表具師) 当代十三代吉兵衛
 三千家三幅対 吉兵衛表具
 金銀砂子風炉先 有隣斎好 十一代吉兵衛作

駒澤家(指物師) 利斎
 菊絵曲水指 八代利斎作
 ブリブリ香合 即中斎好 十四代利斎作

中川家(金物師) 淨益
 広口水指 了々斎好 七代淨益作
 純金冨士形釜 十代淨益作

多くの職家が三百年以上、十数代現在まで家元の下で続いているというのは、世界的にも稀有なのではないかと思いつつ会場を後にしました。

●展覧会情報

茶の湯の継承 千家十職の軌跡展
日本橋三越本店(東京都中央区)
2016年8月31日~2016年9月12日
http://mitsukoshi.mistore.jp/store/nihombashi/

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