いちわん

~ 楽在一碗中 ~
国宝茶室 如庵 (有楽苑)

国宝茶室 如庵 (有楽苑)

リラックスできるお茶室

名古屋から電車で30分、犬山遊園駅を降りて、本当にここに国宝の茶室があるのかと思いながら住宅街を歩いていますと、名鉄犬山ホテルが現れました。

犬山ホテルの前からは、これも国宝の犬山城の天守閣が見え、茶室「如庵」がある有楽苑が敷地内にあります。

有楽苑

如庵は織田信長(1534-1582年)の実弟である織田有楽(1547-1621年)が隠居後晩年に建てたお茶室です。

有楽は信長の死後、さまざまな武将に仕え、関ヶ原の戦いや大坂の陣も乗り越えて75歳と長命でした。後半生は武将よりも数寄者として活躍しました。

如庵は、有楽の隠居後の住まいである建仁寺塔頭の正伝院に作られた二畳半台目のお茶室で、妙喜庵の待庵(京都府山崎)、龍光院の密庵(京都大徳寺)と並んで国宝のお茶室の一つです。

廃仏毀釈の影響により如庵は、明治以降に祇園有志から三井家に渡り、麻布今井町、大磯の別荘と転々とし、1970年に名古屋鉄道の所有となって、1972年に犬山の有楽苑に落ち着くことができました。国宝の移築は極めて珍しく、名古屋鉄道は明治村を作ったこともあり、特別に許されたとのことです。

如庵の扁額

今回は、内部特別見学会の機会があり、お茶室に入ることができました。

お茶室に座っての第一印象は、想像していたよりも広くて明るく、緊張するよりもほっとできました。

広さは、茶道口の前にある有名な三角の鱗板と、点前座の火灯形にくり抜いた風炉先板によります。

明るさは窓の多さによるもので、それらの窓は高さや大きさにバリエーションがあり、見ていて飽きないです。

また点前座に座りまして、風炉先がくり抜かれていることの開放感とお客様の顔が見える嬉しさを感じました。

如庵

有楽は利休の弟子で、侘びを追求したこともあったと思いますが、隠居後は如庵でリラックスしながらお茶を楽しんだのではと想像しました。

そして世の中に如庵写しのお茶室が多いのも、有楽のようにお茶を楽しむためではないかと如庵に座って納得しました。

有楽苑には、他に元庵(大坂天満に有楽が作った三畳台目の茶室の復元)、弘庵(有楽苑でのお茶会のために作られた広間)があり、この二つのお茶室では秋の如庵茶会と正月の初釜が催されており、お茶をいただくことができます。

また元庵と弘庵と広芝生(野点)は、貸席として希望者が使うことができます。

有楽苑は茶室の他にも、旧正伝院書院、徳源寺唐門、有楽好みの井筒(佐女牛井)と見所も多く、木々の緑とともにゆっくり拝見することができました。
 

展覧会情報

国宝茶室 如庵
有楽苑 (愛知県犬山市)
http://www.m-inuyama-h.co.jp/urakuen/

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