見かけによらず情報がぎっしり
タイトルを見ますと茶人紹介の本かと思いますが、紹介にとどまらず茶人の交友関係、所持茶道具の変遷、好みの茶道具や茶室といった広い範囲をカバーしています。
対象の茶人は、珠光、紹鴎から近代の松下幸之助、湯木貞一までで、茶人の生涯を繋ぐことでお茶の全体の歴史が分かります。
本文は、茶人の似顔絵やコミカルな四コママンガもあり、一見、初心者向けかと思ってしまいます。
ですが、決してそのようなことはなく、例えば次のような一つ一つ調べないと把握できない情報が整理されており、大いに勉強になります。
・珠光が所持していた投頭巾肩衝茶入や松花茶壺といった茶道具の変遷
・本能寺の変で罹災した茶道具
・信長が御茶湯御政道で下賜した茶道具
・利休百会記に登場する利休の掛物
・近衞予楽印の茶杓箪笥の内訳
・益田鈍翁の茶道具
・松下幸之助が寄贈した茶室
等々(他にも多数あります)
また交流関連は関連図、仕官先は日本地図、茶道具は手書きの図、というようにビジュアルに記述されていて、分かりやすいです。
作者の情熱が伝わる労作で、特に茶道検定を受験される方や、お茶の知識を深めたい方にお勧め致します。
書籍情報
- タイトル
- 茶の湯人物案内
- 著者
- 八尾嘉男
- 出版社
- 淡交社
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