小さなお茶の多次元宇宙
代官山ヒルサイドテラスにて、京都の漆器古美術店「うるわし屋」の堀内明美氏と布作家の昆布尚子氏が開催した、「茶箱遊び-匣・筥・匳」展を拝見してきました。
今まで京都で三回開催され、東京で初めての展覧会です。
会場に入りますと、抹茶用と煎茶用の茶箱・茶籠とそこに組み込む、茶碗、棗・・といった茶道具がずらりと並んでいます。
今回は抹茶・煎茶用それぞれ三十組を揃えたとのことです。
それぞれ一組ずつがお茶の世界を作り上げていて、まさに小さな「お茶の多次元宇宙」です。
茶室のお茶と違い、茶箱や茶籠では、多くの道具が仕覆に入っていて、その仕覆の裂の織や色合いも美的ポイントになります。
この展覧会では、茶箱・茶籠とそこに納める道具を選び抜いた堀内氏と布を取り合わせた仕覆を作った昆布氏とのコンビネーションが素晴らしく、その絶妙な取り合わせに、なるほどなるほどと納得しながら会場を回りました。
会場にあった大小さまざまな茶箱・茶籠の中で、特に小振りな茶籠に惹かれました。
茶碗や棗といった茶道具たちが、ぴったりひっそり茶籠に収められています。
この一組があれば、どこでもお茶会を開き、お茶を一服お出しすることができるなと思いました。
お茶会を開こうとしますと、場所や茶室の設え、茶道具の取り合わせといろいろ悩んでしまいますが、「茶籠一つあれば・・」どこでもお茶を楽しめます。
今回は茶箱・茶籠組だけではなく、個々の道具も選ぶことができまして、会場にいらした皆さまはご自分の手元の道具を思い浮かべながら、あれこれ迷っていらっしゃるようでした。
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●展覧会情報
茶箱遊び-匣・筥・匳 展
代官山ヒルサイドテラス(東京都渋谷区)
2014年10月3日~2014年10月5日
http://www.hillsideterrace.com/