月の季節のお茶会
畠山記念館にて「茶の湯ことはじめⅡ」展を拝見して参りました。
これは昨年の「茶の湯ことはじめ」展に続くもので、説明を多くした茶の湯の初心者向けの展覧会です。
展示室に入りますと順路が書かれており、お茶会に参加したかのような体験ができます。
最初は掛物で、幾つかある中で森徹山筆の「月兎図」を拝見し、一足早く月の季節を感じました。
花入は、唐物瓢形花入が掛けられ、展示では花が入れられないなと思っていたところ、展示室の中の茶室に入りますと、目も鮮やかな竜胆が生けられ清々しい気持ちになりました。茶室では薄茶と干菓子をいただき、本当にお茶会に参加したかのようです。
茶室をでまして、濃茶・薄茶の展示が続き、幾つか特に心に残りました茶道具がありました。
珍しい備前茶入の銘「関寺」は、関寺小町にちなんだ銘で、挽屋が小町らしく竹を編んで漆で朱色にした市女笠の形をしており、これもまた大変珍しいものでした。
濃茶はこの茶入と、粉引茶碗の銘「放れ駒」、茶杓は小堀遠州作の銘「海士小舟(あまのおぶね)」の取り合わせでした。
薄茶は季節先取りの秋草御所車蒔絵棗が綺麗で眼を惹きました。
最後に、渡辺喜三郎作の庭園三足棚水指という、益田鈍翁好みの棚と一体化した水指を拝見しました。全体が溜塗で天板の下に四角い箱の水指があり、さらに脚がついたもので、椅子に座ってのお点前にちょうどよい高さです。これを観月の野点や立礼の茶会で使いますと皆驚くのではと思いました。
●展覧会情報
茶の湯ことはじめⅡ
畠山記念館(東京都港区)
2017年8月5日~2017年9月18日
http://www.ebara.co.jp/csr/hatakeyama/