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利休を超えた織部とは(湯島天満宮宝物館)

利休を超えた織部とは(湯島天満宮宝物館)

デザイン言語としてのオリベ

利休を超えた織部とは

湯島天満宮宝物館にて「利休を超えた織部とは」展を拝見して参りました。
湯島天満宮は学問の神様と呼ばれる菅原道真公を祀った神社で、会場の宝物館は境内にあります。
一階に受付とミュージアムショップがあり、また神社の御神輿が展示されており、展示室は地下に降ります。

古田織部(1543-1615)は、千利休の弟子で、小堀遠州や本阿弥光悦らの師にあたる大名茶人です。
会場に入りますとずらりと織部の茶道具が並びます。主な展示を説明します。

[プロローグ 織部の書]
織部の消息や織部の画賛の軸が並びます。消息は筆跡が太く細くリズミカルに書かれている印象を受けました。

[第一章 織部好の焼物]
ここから織部の世界に入ります。まず織部好みの茶入、背が高く織部釉と林の絵が描かれた織部林文肩衝茶入 銘「朝霧」から始まりです。
続いて織部が好んだという、瀬戸、備前、信楽、唐津茶入が続きます。前押で矢印のような文様のある瀬戸肩衝茶入 銘「しま瓜」に惹かれました。
黒織部、織部黒茶碗が並び、水指へ続きます。織部好の水指をこれだけまとまって拝見するのは初めてで、縄文土偶を彷彿とさせる美濃伊賀耳付水指もありました。
炉開でおなじみの織部香合も幾つか展示されていました。

[第二章 デザイナー織部]
この展示では織部自作の竹尺八花入 銘「韮山」から始まり、デザイナーとしての織部の多才さが分かります。
織部がデザインしたものは
花入、茶入、薄器、茶杓、釜、風呂、炭道具(火箸、灰匙、底取)、柄杓、棚、懐石道具・・
ととどまる所を知らず、お茶のあらゆるものに織部のデザインが生きていることに驚きました。

[第三章 書院の茶の湯の発展]
織部は利休に侘び茶を習い、それとは別に大名茶である書院の茶の湯を発展させました。
利休と異なり、織部の茶事は、小間の数寄屋で懐石と濃茶を行い、動座して書院で薄茶を点てるといった、侘び茶と書院の茶を組み合わせた新しいスタイルでした。
これは現在でも武家茶道である遠州流にも引き継がれています。

[第四章 会席具の集大成]
向付、鉢、徳利、ぐい呑・・とお茶にあまり縁のない方にも親しみのある、グリーンの織部釉がかけられた会席道具が並びます。
特に向付や鉢は、懐石道具の展覧会がありましたら必ずといっていいほど展示されるほど人気があります。
またユニークなものとしては、青織部の煙管、耳付振出、楓図雀瓦、それに灰釉南蛮人燭台がありました。

[第五章 織部に影響を与えた人々]
ここでは織部に大きな影響を与えた、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の書状等が展示されていました。

[第六章 織部茶会再現]
織部六十一歳から晩年の七十二歳までの茶会の道具組を拝見することができました。

数多くの織部好の茶道具を拝見して、お茶の世界で織部ほど有名なデザイナーはいないのではないかと気がつきました。
利休好や遠州好もありますが、どちらも特徴を知らないとなかなか分かりません。
ところが織部は、お茶をあまりご存知ない方もグリーンの釉薬が掛かり、鉄釉の絵が描かれていますと「オリベ」と思う方が多いと思います。
家庭の食器や居酒屋さんのお皿といった身近なところにも「オリベ」はあります。
これだけ普及していますと、まるで初期のマッキントッシュの「スノーホワイト」といったデザイン言語のようで、織部デザインの偉大さを改めて認識しました。

 

●展覧会情報

利休を超えた織部とは
湯島天満宮宝物殿(東京都文京区)
2015年8月8日~2015年9月20日
http://www.yushimatenjin.or.jp/pc/index.htm




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