自由闊達なかたち
大西清右衛門美術館にて「釜のかたち PARTⅠ」を拝見して参りました。
以前、もし茶釜を注文するとしたらどのような釜がよいか、と考えたことがあります。
まず炉用と風炉用があり、オーソドックスな形でも、真形、万代屋、織部筋、雲龍、富士形、車軸・・と多くのバリエーションがあり、何かテーマを設定しないと決まらないと思いました。
今回の展覧会は、「釜のかたち」に重点を置いており、改めてさまざまなかたちがあるなと感心しました。陶磁器や漆塗りと違い、形が作りにくい鉄であるにもかかわらず、釜は自由闊達なかたちが存在しています。
例えば、陶磁器で作ることが多いお茶碗は、樂、萩、唐津、高麗・・と産地は多いですが、形は井戸、筒、平・・と意外と種類は多くないです。
主な展示品は次のとおりです。
瓢ノ釜:二代大西浄清
霰富士釜:二代大西浄清・・富士山の形に沿って霰が押されています
車軸釜:天明 ・・車軸中央の心棒に似ています
透木釜:三代大西浄玄
半八角釜:大西定林
筒釜:十代大西浄雪
獅子頭釜:十代大西浄雪・・鐶付が獅子の頭
広口釜:辻与次郎
尻張釜:名越浄味
鶴首釜:奥平了保・・すっとのびあがるフォルムが鶴の立ち姿にたとえられます
箆被釜:十一代大西浄寿・・胴の下部がへこんだようなかたち
唐犬釜:七代大西浄玄・・犬の耳のような鐶付 が特徴です
束木釜:初代大西浄林・・木を束ねたようなかたち
また同じように鉄で作る燗鍋もさまざまなかたちがありました。燗鍋は炉や風炉といった大きさの制限がなく、大小いろいろです。
名前を聞くと形が思い浮かびます。
太鼓胴燗鍋:十代大西浄雪
鮑形燗鍋:西村道也
分銅形燗鍋:大西定林
富士形平燗鍋:十代大西浄雪
松地文瓢形燗鍋:十四代大西浄中
八角燗鍋:九代大西浄元
注文主はどのような趣向で、釜や燗鍋を取り合わせて茶事を催したのかな、と茶席での歓声とため息を楽しく想像できる展覧会でした。
●展覧会情報
釜のかたち PART I
大西清右衛門美術館(京都府中京区)
2015年9月5日~2015年12月23日
http://www.seiwemon-museum.com/