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~ 楽在一碗中 ~
やきもの百花繚乱-宗旦・宗和・遠州とその時代-(湯木美術館)

やきもの百花繚乱-宗旦・宗和・遠州とその時代-(湯木美術館)

三茶人とやきもの

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湯木美術館にて「やきもの百花繚乱 -宗旦・宗和・遠州とその時代-」を拝見してまいりました。

今回は、千宗旦(1578-1658年)、金森宗和(1584-1656年)、小堀遠州(1579ー1647年)の同時代に生きた三茶人が好んだやきものの展覧会です。

侘び茶に徹した宗旦は現代まで続く三千家の礎を作りました。大名の嫡男でありながら早々に隠居し、公家風を茶の湯に取り込み、優雅な茶風で「姫宗和」と呼ばれました。

道具の箱にも好みがあり、盛り蓋で鹿皮の紐仕立ての優美な風情の「宗和箱」を考案しました。

遠州は大名茶人で、侘び茶に王朝趣味である和歌や文房具を取り入れ、「綺麗さび」と呼ばれました。

湯木貞一氏はこの三茶人に加え、遠州に憧れた松平不昧(1751-1818年)を好まれたようで、縁の茶道具を数多く所持しています。

展示室の入口近くに、数寄者・高橋灼庵が描いた志野茶碗「広沢」のユーモラスな画賛が掛かっていました。

◆侘び茶の宗旦に縁の道具です。
・赤茶碗「再来」 長次郎作・・宗旦が所持でやや大振りの継ぎのある茶碗です
・黒平茶碗 宗入作 ・・夏向きの平茶碗で涼しげです
・信楽鬼桶水指・・想像よりも遙かに大きく、これを点前座に置くのか驚きました
・浮御堂画賛 宗旦筆 ・・近江八景「堅田の落雁」で名高い琵琶湖畔の浮御堂がさらっと描かれています

◆姫宗和といわれた宗和好みの道具です。
・色絵扇流文茶碗 野々村仁清作・・口作りが少し歪んだ流水に流れる扇が美しいお茶碗です
・獅子撮砂金袋水指 野々村仁清作・・砂金袋の形で撮みが獅子の優美な形です。この水指の前で点前姿の湯木貞一氏の写真を見たことがあります
・赤平茶碗 宗和作・・宗和作のお茶碗は初めて拝見しました

◆綺麗さびの遠州に縁の道具です。
・膳所耳付茶入「五月雨」・・細長い鶴首形の茶器です。膳所焼は大津で作られ、遠州が指導したことで知られています。松平不昧所持で、和歌「山ひめのおるや衣の滝津瀬に くりいたす糸の五月雨のころ」が箱蓋裏に墨書されています
・高取水指・・高取焼も遠州が指導した窯の一つで遠州好みの前押しがされています
・古瀬戸十王口水指・・遠州から近衛家へ譲られた水指で釉薬がむらむらとしています。「十王」とは閻魔大王のことで、口の周りの輪を閻魔大王の冠に見立てたものです

この他にも、青井戸茶碗「春日野」が展示されていました。「春日野」は青味とびわ色が現れた井戸茶碗で、「瀬尾」(福岡市美術館蔵)、「竹屋」(個人蔵)と並ぶ「東都青井戸の三名品」の一つです。

さらに懐石道具の向付として黄瀬戸、絵唐津、古染付、上野割山椒、仁清水玉透も展示され、吉兆さんならではでした。

また今回展示された道具(青井戸「春日野」、鬼桶水指、獅子撮砂金袋水指)を中心とした取り合わせが写真で紹介されており、どれも素晴らしく、実際に拝見したいと強く思いました。

 
 

●展覧会情報

やきもの百花繚乱 -宗旦・宗和・遠州とその時代-
湯木美術館(大阪市中央区)
2016年4月1日~2016年6月26日
http://www.yuki-museum.or.jp/

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