茶の湯の名品を一堂に
上野の東京国立博物館にて、「茶の湯」展を拝見してまいりました。
東博での茶の湯展は37年ぶりとのことで、東京・京都・大阪等の美術館を廻って今まで拝見してきた、茶の湯の名品のほとんどが一堂に揃いました。
それぞれ、これは東京の畠山記念館・三井美術館・根津美術館、京都の樂美術館、大阪の湯木美術館・藤田美術館・・と久しぶりに再会した茶道具も多く、懐かしくなりました。
展示する作品数が多いため、広い東博の会場でも8期に分けての展示となり、興味ある作品を拝見するために複数回訪れなければならず、3回展覧会にお伺いしました。
膨大な数(出品目録では259点)で、特に心に残りました作品を紹介致します。(カッコ内は所蔵)
第一章 足利将軍家の茶湯-唐物荘厳と唐物数寄
・曜変天目 稲葉天目(静嘉堂文庫美術館)
-何度拝見しても稲葉天目は美しいです
・油滴天目(大阪市立東洋陶磁美術館)
・青磁鳳凰耳花入(大阪市立東洋陶磁美術館)
第二章 侘茶の誕生-心にかなうもの
・唐物肩衝茶入 銘 初花(徳川記念財団)
・唐物肩衝茶入 銘 遅桜(三井記念美術館)
・唐物肩衝茶入 北野肩衝(三井記念美術館)
・唐物肩衝茶入 松屋肩衝(根津美術館)
-有名な唐物茶入の勢揃いで圧倒されました
・唐物茶壺 銘 松花(徳川美術館)
・芦屋浜松地歌入真形釜
・天明筋釜(東京国立博物館)
・三島茶碗 二徳三島(三井記念美術館)
・大井戸茶碗 銘 喜左衛門井戸(孤篷庵)
-喜左衛門も何度拝見しても心を奪われます
・大井戸茶碗 宗及井戸
・青井戸茶碗 柴田井戸(根津美術館)
-大井戸はその迫力で近づき難いですが、柴田井戸は濃茶を練ってみたいと思います
・小井戸茶碗 銘 忘水(根津美術館)
・雨漏茶碗(根津美術館)
・蕎麦茶碗 銘 花曇
第三章 侘茶の大成
・印可状 虎丘紹隆宛(流れ圜悟)(東京国立博物館)
・偈頌 照禅者宛(破れ虚堂)(東京国立博物館)
・梅渓号(五島美術館)
・井戸香炉 銘 此世(根津美術館)
・南蛮芋頭水指(永青文庫)
・瓢花入 銘 顔回(永青文庫)
・赤楽茶碗 銘 白鷺(裏千家今日庵)
・赤楽茶碗 銘 無一物(頴川美術館)
・赤楽茶碗 銘 一文字
・黒楽茶碗 銘 ムキ栗(文化庁)
・黒楽茶碗 銘 万代屋黒(樂美術館)
・黒楽茶碗 銘 俊寛(三井記念美術館)
-茶碗の中の宇宙展に続いて樂の名碗揃いです
・竹茶杓 銘 ゆがみ 千利休作(永青文庫)
・山上宗二記(表千家不審菴)
-有名ですがなかなか機会がなく、今回初めて拝見しました
・伊賀花入 銘 生爪
・伊賀耳付花入 銘 破袋(五島美術館)
・小井戸茶碗 銘 老僧(藤田美術館)
・御所丸茶碗 古田高麗
・大井戸茶碗 有楽井戸(東京国立博物館)
・信楽一重口水指 銘 柴庵(東京国立博物館)
・志野茶碗 銘 卯花墻(三井記念美術館)
・鼠志野茶碗 銘 山の端(根津美術館)
・黒織部菊文茶碗
-日本一の織部茶碗と思います
・黒楽茶碗 銘 時雨(名古屋市博物館)
・黒楽茶碗 銘 残雪(樂美術館)
第四章 古典復興-小堀遠州と松平不昧の茶
・小井戸茶碗 銘 六地蔵(泉屋博古館分館)
・古瀬戸茶入 銘 在中庵(藤田美術館)
・竹茶杓 銘 くせ舞 小堀遠州作
-竹の景色が美しく美杓という言葉がぴったりです
・奥高麗茶碗 銘 深山路
-あるお茶会で手に取って拝見することができ、感激しました
・大菊蒔絵棗
・伊賀耳付花入 銘 業平(三井記念美術館)
第五章 新たな創造-近代数寄者の眼
・交趾大亀香合(藤田美術館)
・唐物茄子茶入 国司茄子(藤田美術館)
・志野茶碗 銘 広沢(湯木美術館)
・大井戸茶碗 細川井戸(畠山記念館)
また、古田織部の茶室である「燕庵」が実物大で復元されていました。
あまりに多くの名品の数々で消化しきれず、頭がぼっとしながら博物館を後にしました。夢のようなひとときでした。
●展覧会情報
茶の湯
東京国立博物館(東京都台東区)
2017年4月11日~2017年6月4日
http://www.tnm.jp/