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~ 楽在一碗中 ~
静嘉堂文庫美術館 曜変・油滴天目茶道具名品展

静嘉堂文庫美術館 曜変・油滴天目茶道具名品展

輝ける宇宙 究極の美

曜変・油滴天目 -茶道具名品展-

曜変・油滴天目 -茶道具名品展-リーフレットと出品目録

静嘉堂文庫美術館の「曜変・油滴天目茶道具名品展」に行って来ました。

三菱初代社長の岩崎彌太郎氏(天保6(1835)~明治18(1885))の弟、二代社長岩崎彌之助氏(嘉永4(1851)~明治41(1908))と四代社長岩崎小彌太氏(明治12(1879)~昭和20(1945))によって設立された静嘉堂文庫は今年創設120周年、静嘉堂文庫美術館は20年を迎えます。

美術館は、二子多摩川駅からだいぶ離れた世田谷の小高い丘の上にあり、瀟洒な洋館はまるでリゾート地のロッジに来たような趣です。

今回の展覧会の中心は唐物茶碗「曜変天目(稲葉天目)」です。拝見したのは二回目で、大げさではなく、輝ける宇宙の星を感じる究極の美だと思います。常設展示はされていませんので、展覧がありましたら機会を作ってぜひ一度ご覧くださるようお勧め致します。

曜変天目は作られた中国には残っておらず、日本に三碗のみ残っており、いずれも国宝に指定されています。(他は京都大徳寺龍光院と大阪の藤田美術館の所蔵品)

今までは曜変天目の破片すら見つからなかったのですが、2009年に中国で1/4ほど欠損しているものの曜変天目茶碗が見つかり、展示されていました。確かに星のきらめきのある曜変天目です。ただそれでも世界に完品が三碗しかないことには変わりはく、貴重な茶碗です。

もう一つの見所は、茶入の付藻茄子と松本茄子(紹鴎茄子)です。大阪冬の陣で罹災してばらばらになった破片を塗師の藤重藤元と藤巌親子により漆で修復されました。釉薬のたれ具合も漆で再現されていて、ガラスごしに近くで拝見してもつなぎ目等修理の様子は全く分かりません。(触れれば分かるのかも知れませんが)現代になって透過X線写真によって確認できました。まさに超絶技法です。

他にも名品は多く、油滴天目や、遠州や不昧好みの綺麗さびの茶道具等が展示されていました。

その中では、遠州が見いだした中興名物の瀬戸芋子茶入「雨宿」が目を引きました。「雨宿」は、茶入はもちろん素敵で、さらに茶入を収める挽屋が有名です。挽屋は竹で作られ溜塗に蒔絵で、立菊に短冊が描かれています。この意匠で中江胡民氏作の薄茶器も作られました。

それから個人的には黒刷毛目の御所丸茶碗が好きで、お茶の緑が映えるだろうなと思ってじっくり拝見しました。

他にも大名物唐物茄子茶入・利休物相、松平不昧好みの八重菊蒔絵大棗、長次郎茶碗「紙屋黒」、古田織部作竹二重切花入と見所満載です。

 

展覧会情報

名称
曜変・油滴天目 -茶道具名品展-
会場
静嘉堂文庫美術館(東京世田谷区)
会期
2013年1月22日~2013年3月24日
公式サイト
http://www.seikado.or.jp/

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