いちわん

~ 楽在一碗中 ~
海田曲巷・上田晶子「茶かごと茶杓」展

海田曲巷・上田晶子「茶かごと茶杓」展

作家を超えた現代の数寄者

海田曲巷・上田晶子「茶かごと茶杓」展

「茶かごと茶杓」展 案内はがき

DEE’S HALLにて、海田曲巷・上田晶子「茶かごと茶杓」展を拝見してきました。

3年ぶりのDEE’S HALLでの個展で、展示された作品は、茶籠のセット、茶籠と組み込む茶道具、茶杓、竹花入、帛紗等です。

茶籠のセットは、茶碗・茶杓・茶器・振出・茶筅・茶器・・と小降りの茶籠によくこんなに入るものかとどれもため息が出てしまうような取り合わせです。

茶籠用の道具はどれも小さく愛らしくままごとのようですが、どれも立派な茶道具です。

海田氏は、茶杓師として活躍され、長くお茶に親しむ中で古美術を茶道具として取り合わせて来ました。その見立て力は素晴らしく、和物を始め、古代中国のもの近代ヨーロッパのものとまさに活殺自在で、海田氏の茶席に入るたびに、なるほど!これは!と驚きつつ納得しています。

また海田氏は茶籠への思い入れがあり、最初は古美術の茶籠を探して修理していましたが、段々良い茶籠が見つからなくなって、(ここが凄いところですが)自分で作ってしまえと作り始めてしまいます。

茶杓も茶籠もどちらも竹を使いますが、作り方がかなり異なっており、よくぞお作りになったと驚きました。海田さんの茶籠は、きゅっと締まった小さめで時代も付けられ(方法は秘密)、まるで唐物のようで、手にすると感激致します。

海田氏の筆による軸と愛らしい展示品の数々

海田氏の筆による軸と愛らしい展示品の数々

海田氏はさらに、軸の書を書き、茶碗や振出を焼き、漆で絵を描き、竹で茶器や茶筅筒を編み、もちろん茶杓を削り・・とオールマイティな作家であるだけでなく、取り合わせと見立てのセンスの良さとお人柄で、現代の数寄者であると思っています。

今回、海田氏の作品の他に心惹かれたのは、升たか氏の色絵の振出で、ペルシャのような文様で本当に愛らしくて、一目で気に入ってしまいました。

 

展覧会情報

名称
海田曲巷・上田晶子「茶かごと茶杓」展
会場
DEE’S HALL(東京都渋谷区)
会期
2013年6月11日~2013年6月18日
公式サイト
http://www.dees-hall.com/

« »