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~ 楽在一碗中 ~
生誕140周年記念 川合玉堂展

生誕140周年記念 川合玉堂展

玉堂とデルフト眺望

展覧会場内

展覧会場内

山種美術館の「特別展 生誕140周年記念 川合玉堂」に行って参りました。
日本画の展覧会はあまり行かないのですが、今回はブロガー内覧会の企画がありまして、その機会にお伺いすることにしました。

会場の山種美術館は、山種証券創立者の山崎種二氏(明治26(1893)~昭和58(1983))が1966年に同氏と山種証券のコレクションを保存・管理するために開館しました。日本橋兜町から千代田区三番町を経て、2009年に現在の渋谷区広尾に引っ越ししています。

川合玉堂氏(明治6(1873)~昭和32(1857))は、愛知に生まれ、岐阜で育った日本画家で、日本の四季の山河を美しい墨線と彩色で描く風景画が有名です。また東京美術学校(現東京藝術大学)の教授も務め、日本画壇の中心的存在の一人でした。

種二氏は玉堂氏と親交があることから、71点もの作品を所有し、今回初めて前後期に分けて全点を展示します。さらに玉堂美術館・五島美術館等や個人蔵の作品も揃い、関東では三十年ぶりの個展とのことです。

玉堂15歳のときの写生帖

玉堂15歳のときの写生帖

会場に入りますと、まず最初期の写生帖が展示されています。なでしこやカワセミが細かく丁寧に描かれており、とても15歳の作品とは思えないです。まさに「栴檀は双葉より芳し」です。

今回は、館長の山崎妙子氏のギャラリートークを聞きながら拝見することができ、楽しく作品の理解をすることができました。

作品は日本の風景画を中心にしており、今では見ることが叶わない日本の美しい自然の景色や人の営みもあります。

最初の写生帖から、22歳の「鵜飼」、「南江帰漁」、「湖村春晴」・・とに玉堂氏の作品を拝見していきました。玉堂氏の絵は、風景の中で小さく人が描かれている場合が多いです。

幾つかそういう絵を拝見して、ふと、フェルメールの「デルフト眺望」を思い出しました。「デルフト眺望」では、デルフトのスヒー港にて立ち止まって話をしている人々が描かれています。

さらに玉堂氏の絵を拝見していてフェルメールとの違いに気がつきました。玉堂氏に描かれた人々は、皆何かを営んでいるのです。舟を漕ぐ人、馬を引いて荷物を運んでいる人、稲刈りをしている人、荷物の入った籠を背負って歩いている人・・皆何らか働いています。

その描き方を見て、玉堂氏の、営む人々への尊敬と優しい眼差しを感じました。

絵の中の人物拡大

絵の中の人物を拡大

日本画をじっくりと拝見したのはほとんど初めてで、小さな人物のように本当に繊細に丁寧に描かれていると感動し、今回の大きな収穫でした。

特にここ山種美術館では、厚さ15cmのアクリルケースで展示されており、顔を近づけてアップで拝見できまして、日本画にぴったりと納得しました。

あと印象に強く残りましたのは、「湖畔暮雪」で、これは雪の白さを表すのに胡粉等を使わず、絹本そのままの白地としています。これも間近で拝見して絹地の美しさを堪能しました。

三井記念美術館所蔵の円山応挙作「雪松図屏風」と同じ手法と館長よりお聞きしました。

日本画好きな方はもちろん、日本画や川合玉堂の作品をあまり見たことがない方にも、この機会に当展覧会をご覧いただくことをお勧め致します。

内覧会の後、一階のカフェで川合玉堂展特製和菓子をいただきました。5種類のうち、「さおとめ」と「しろうさぎ」をどちらも美味しくいただきました。こちらもお勧めします。

「湖畔暮雪」

「湖畔暮雪」

 

展覧会にちなんだ和菓子

展覧会にちなんだ和菓子



※今回は内覧会の為、主催者の許可を得て写真撮影しております。通常は撮影禁止です。

 

展覧会情報

2013_m016_02

名称
特別展 生誕140周年記念 川合玉堂 ―日本のふるさと・日本のこころ―
会場
山種美術館(東京都渋谷区)
会期
2013年6月8日~2013年8月4日
公式サイト
http://www.yamatane-museum.jp/

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