名碗が目の前に
菊池寛実記念智美術館にて「現代の名碗」展を拝見して参りました。
まず驚いたのは、ほとんどのお茶碗がガラスケースに入っておらず、見込みも覗けるほどそばに寄れることです。
一般的な展覧会では、ガラス越しなので、見込みや口作りをじっくり拝見するのは難しいですが、今回は茶碗の内側をのぞき込むことができました。
なかなかできないことと、智美術館の今回の英断に感激しました。
拝見できますのは、
川喜田半泥子氏(1878-1963)、
加藤唐九郎氏(1898-1985)、
荒川豊蔵氏(1894-1985)、
三輪壽雪氏(1910-2012)といった近代の陶芸家から、
鈴木藏氏(1934-)、
田中佐次郎氏(1937-)、
樂吉左衞門氏(1949-)、
隠崎隆一氏(1950-)といった最前線で活躍している方、
加藤高宏氏(1972-)、
桑田卓郎氏(1981-)という若手の方々
と、およそ40名の幅広い作家のお茶碗です。
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会場をぐるりと廻りますと近現代のお茶碗の流れが間近で一望できます。
紹介したい茶碗が数多く、とても書ききれないため心に留まった主なお茶碗を案内致します。
まず紹介したいのは川喜田半泥子氏のお茶碗です。
川喜田氏のお茶碗は、「ヤシノミ」、「さみだれ」と整った造形ではないですが、心惹かれる味があり、さらにお茶があり、手にとってお茶をいただいてみたくなります。
「近代の光悦」と言われて納得致します。
加藤唐九郎氏の志野茶碗は何回か拝見したことがありますが、やはり素敵です。
先年亡くなった辻清明氏の信楽窯変茶碗は荒々しい肌に、田中佐次郎氏の青宵茶碗、極光茶碗はその破格の居住まいに惹かれます。
当代の樂吉左衞門氏は、焼貫樂茶碗「望舒」、焼貫黒茶碗「一犂雨」、赤樂茶碗「柵塞辺の道ゆ」の三碗でどれもタイプが違って魅力的です。
桑田卓郎氏の白金彩点滴茶碗は、きらきら輝いており、最初これはちょっとと思ったところ、だんだんこういうお茶碗もよいかもと思うようになりました。
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紹介しましたのはほんの一部で、本当に沢山のお茶碗を拝見できます。その中で自分の好みのいちわんを見つけられると思います。お勧め致します。
展覧会情報
- 名称
- 現代の名碗
- 会場
- 菊池寛実記念智美術館(東京都港区)
- 会期
- 2013年9月14日~2014年1月5日
- 公式サイト
- http://www.musee-tomo.or.jp/