衒いなく描いた現代のお茶
遠州流茶道家元である小堀宗実氏とそのご家族を中心とした、遠州流宗家の一年のドキュメンタリーです。
お家元が自ら結び柳を作る正月の点初め(初釜)に始まり、遠州忌、勉強会、子ども茶道教室、炉開き・・そして大晦日の埋火までの一年の行事を四季の景色や茶花と共に、次のシーンを織り込んで描いています。
・高層ビルの最上階にあるオラクル社の茶室での茶事の様子
・板東三津五郎氏、熊倉功夫氏、松岡正剛氏といった各界著名人のインタビュー
・お家元の茶室設計指導の様子
・ロータリークラブでの添釜
・お弟子さんからひとこと
・海外でのお茶のデモンストレーション
これらの中で、特に印象に残りましたのは、お家元が茶室設計を指導されている姿とお家元がご家族にお茶を教えている様子です。
茶室設計では、お茶のルールを守りつつ新しい技術や工夫を取り込んで、お茶の空間を作りだすために、どのように心配りをしているかが分かりました。
またご家族へお茶を教えることにより、このようにお茶の伝統が伝わっていくのだなと実感しました。お家元とご長男が行った大晦日の埋火は「伝える」を象徴したシーンだと思います。
お茶に興味のある方や海外の方にお茶を伝えるには、演出した歴史ドラマよりも、衒いなく現代のお茶を描いた、この映画をお勧めします。ぜひご覧くださいませ。
◆映画「父は家元」公式サイト http://chichihaiemoto.com/
2014年1月25日より全国ロードショー
[当サイトでは映画のカテゴリが無いため、展覧会ページに掲載させていただきました]