モチーフの美
大西清右衛門美術館にて「茶の湯釜の文様」を拝見してきました。
茶の湯の釜を拝見してまず目に入りますのは、真形、車軸、富士・・とまず形ですが、今回は目をこらさないとなかなか拝見できない釜の文様の展覧会です。
釜の文様は、下絵を裏返して鋳型に貼り付けてへこますようにして釜の表面に篦押しして描きます。
鉄を鋳込んで作る文様ですので、色はなく、鉄の凹凸で表現しています。
釜を一度作ると、釜を取り出すときに鋳型は壊してしまうので、一期一会の文様です。
今回拝見した釜で特に印象深い釜は次のとおりです。
狩野探幽下絵 雲龍地文鍋釜 二代大西浄清作
琳派四百年と話題となっています狩野派の探幽(1602-1674年)と
名工と言われた浄清の共作です
東山魁夷下絵 松地文真形釜 銘巌松 唐銅朝鮮風炉添 十五代大西浄心作
文化勲章を受章した東山魁夷(1908-1999年)と先代の浄雪の共作で
探幽-浄清の作品から約三百年の時を経て作られました
鮎地文撫形釜 初代大西浄林作
炉釜ですが夏が旬の鮎の文様で、注文主が鮎が好きだったのか、
話題を求めたのか・・と想像が膨らみます
雲龍釜 西村九兵衛作
漫画のようなユーモラスの龍が描かれていました
亀甲釜 六代大西浄元作
青海波釜 十代大西浄雪作
どちも日本の伝統的な文様です
湘相八景地文八角釜 十六代大西清右衛門作
山水画の伝統的な画題で、今回ご当代が八角釜で作られました
展覧会には他にも、地文をテーマにした釜以外の茶道具が展示されました。
垣ニ菊地文籠形燗鍋 大西五郎左衛門作
春秋草花蒔絵溜柄炉灰杓子・火箸 飛来一閑・十四代大西浄中作
松平不昧好 南鐐若松毛彫酒次 中川浄益作
南鐐水草彫輪花盆 十五代大西浄心作
唐銅鶴蝶彫建水 十五代大西浄心作
また7階の弄鋳軒では、春らしい釣釜(浜松地文富士釜 二代大西浄清作)と利休好の桐木地旅箪笥の取合せでした。
●展覧会情報
茶の湯釜の文様
大西清右衛門美術館(京都市中京区)
2015年4月21日~2015年6月28日
http://www.seiwemon-museum.com/j/index.html