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遠州・不昧の美意識展

遠州・不昧の美意識展

日本の美 次第の美しさ

根津美術館

根津美術館

根津美術館の「遠州・不昧の美意識」展に行って来ました。

東武鉄道創立者の根津嘉一郎(万延元(1860)~昭和15(1940))によって設立された根津美術館は、東京南青山にあり、美術館だけでなく幾つもあるお茶室も有名です。

2009年にリニューアルし、隈研吾デザインのスタイリッシュな美術館に生まれ変わりました。

今回は、小堀遠州(1579~1647)と松平不昧(1751~1818)ゆかりの茶道具展です。時代が異なるため、直接二人が会うことはありませんでしたが、不昧は遠州を慕い、遠州の道具を集め、遠州の様式に倣いました。

展覧会は三部構成で、

一部:小堀遠州が生み出した作品
二部:遠州から不昧へ渡った作品
三部:松平不昧が好んだ作品

です。

見所は「綺麗さび」の趣の茶道具そのものと道具に合わせてあつらえた次第の美しさです。
「綺麗さび」とは、わびの中でほどよく華やかさがあり、わび過ぎず華やかすぎずそのバランスが絶妙です。

綺麗さびの茶道具の主なものは、丸壺茶入 銘「相坂」、井戸茶碗 銘「忘水」、井戸香炉 銘「此世」などです。
どれも落ち着いた美しさとほどよい華やかさがあります。
長次郎の黒樂茶碗のわびや京焼の綺麗さとはまた別の美があります。

そして「次第」と呼ばれる、茶道具に添い、茶道具を守る、箱、箱書、仕覆、牙蓋、風呂敷等々が、どれにも美意識と思い入れが込められ、本当に美しく、しばし見とれてしまいました。

細やかな心遣いは、例えば道具を収める箱では材質・形・真田紐、それに箱書きが吟味されていることがよく分かります。

遠州は、「相坂」のように漢語では隷書体で風格を持たせ、歌銘では流麗な定家様で華やかさを持たせています。

また道具を包む仕覆は、全て名物裂に揃えるのではなく、金襴と更紗というように格と取り合わせを考慮して変化をつけています。

不昧は、このような遠州の好みに倣って、箱書し、次第を整えて行きました。遠州所持の道具では遠州の箱とそれを包む不昧の箱が並んで展示されていまして、よく似た次第となっていました。

大切な道具に銘をつけ、仕覆や箱などを整えるというのは、日本独自の美意識のようです。

そんな美意識が大好きで、今回の展示は次第も美しい茶入を数多く拝見できて、大満足の一日でした。

 

展覧会情報

2013_m003_02

名称
コレクション展 遠州・不昧の美意識 名物の茶道具
会場
根津美術館(東京港区)
会期
2013年2月23日~2013年4月7日
公式サイト
http://www.nezu-muse.or.jp/

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