いちわん

~ 楽在一碗中 ~
北村美術館「平成二十五年茶道具取合展 春興の茶」

北村美術館「平成二十五年茶道具取合展 春興の茶」

数寄者のお茶会

北村美術館

北村美術館

北村美術館で「春興の茶」展を拝見してきました。

北村美術館は代々林業を営む北村家の数寄者北村謹次郎氏(明治37(1904)~平成3(1991))が蒐集した古美術品を展示する美術館で、昭和50年(1975年)に設立されました。

この美術館の特徴は、展示を茶事・茶会に見立てて寄付から本席の流れを展示で表現しています。さらに凝っているのは展示目録が会記形式で、奉書ではないもののきちんと正方形に折ってあります。

今回の見所は、花入の枇杷竹文髹漆瓶子、乾山の香合、斗々屋茶碗です。

瓶子花入は展覧会のチラシにも取り上げられたもので、思ったより大振りな堂々としたものです。漆がちょうどよくかすれて時代を感じます。さてどのような花を入れるのかと悩みました。

香合は乾山作の槍梅文です。松平不昧の箱があり、雲州蔵帳にも載る名品で、梅が愛らしくとても綺麗です。
斗々屋茶碗は口作り(茶碗の縁)がぴんと緊張感があり、初夏の雰囲気です。

ガラスケースに銘「白菊」の茶碗の箱が展示しており、外箱は遠州流先代家元の小堀宗慶宗匠で、ところがどこにも「白菊」が見つからないのです。館員にお尋ねしたところ、実は展示してある斗々屋茶碗の箱で、今回は「秋を連想させる銘なのであえて会記に記載しませんでした。秋の展示でしたら書くのですが。」とのことで、そこまで配慮するお茶の奥深さに驚嘆を覚えました。

展覧の拝見が終わって、まるで数寄者のお茶会に参加できたような感動を覚えました。
こちらの展覧会も能衣装が展示されており、北村謹次郎氏も能を嗜んでいたようです。

また美術館の隣には「四君子苑」という数寄屋造りの旧北村邸の建物があり、春と秋の一定期間に公開されます。
(以前、細川護煕氏は四君子苑で自作の仏像の展覧会を行いました)

館員から「建物・茶室も素敵だが、石の美術品が素晴らしく、植木屋さんや興味のある方が沢山見学しています。」と聞きました。ご興味のある方にお勧め致します。

展覧会情報

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名称
2013年春期 茶道具取合展「春興の茶」
会場
北村美術館(京都市上京区)
会期
2013年3月12日~2013年6月9日
公式サイト
http://kitamura-museum.com/

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