不昧、遠州、そして即翁
畠山記念館にて「大名茶人 松平不昧の数寄」展を拝見してきました。
会場に入りますと、油屋肩衝、松平粉引、細川井戸が迎えてくれました。
漢作唐物茶入 「油屋肩衝」は真に堂々とした茶入で、不昧が宝物之部に入れたことが納得できます。
今回は茶入の後ろに六つの仕覆(太子間道、下妻緞子、宗薫緞子、本能寺緞子、丹地雲文古金襴、紺綾地花兎文古金襴)がずらりと並び、いかに茶人に愛されて来たかということがよく分かります。
並んでいる粉引茶碗「松平」は三粉引(三好粉引、楚白粉引と)、井戸茶碗「細川」は三井戸(喜左衛門井戸、加賀井戸と)と数えられるように大名物之部に入る名品で油屋肩衝と並んでも遜色ありません。
どちらも美しく、お茶が綺麗に映える様子を思い浮かべました。
他にも瀬戸面取茶入「吸江」、唐物茶入「日野肩衝」、唐津茶入「思河」、彫三島、蕎麦茶碗、関宗長作黒小棗等名品が展示されていました。
「吸江」は、「西江の水を一口に吸尽くす」から命銘されて、即翁が荏原製作所のポンプにちなんで求めたということです。
その中で「吸江」と「思河」は、遠州と不昧の箱書が並んで展示されていて、不昧が遠州と同じように隷書で箱書しています。
また「和漢茶壺鍳定」では不昧が遠州に倣ってに定家様で書いており、不昧の遠州に対するリスペクトを感じます。
隷書は重々しい印象を受けるのに対して、定家様は楽しく書かれているように感じ、拝見しているこちらまでわくわくします。
軸は、畠山コレクションのスタートとなった「南楚師説墨跡 送別語」が展示されていました。
この後不昧の雲州蔵帳に添って即翁は収集して行きます。即翁は能登の守護大名である畠山氏の末裔で、そのこともあって大名茶道具に思いがあったとのことです。
ここに、小堀遠州-松平不昧-畠山即翁と繋がる茶の縁を感じます。
他に、不昧が喜左衛門井戸と交換に大徳寺から手に入れた掛物「猪頭蜆子図」や、油屋肩衝のコンテナのような次第等々も展示されています。
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展示を見終わったあとで、美術館内のお茶室でお抹茶をいただきました。
今回は不昧公好みの松江・風流堂のお菓子と辻村史朗氏作の大井戸茶碗と粉引茶碗が運ばれました。
大井戸と粉引は、先ほど油屋肩衝と共に拝見したばかりの取り合わせで、その洒落た趣向にさすがお茶の美術館と感心致しました。
●展覧会情報
大名茶人松平不昧の数寄
畠山記念館(東京都港区)
2014年10月4日~2014年12月14日
http://www.ebara.co.jp/csr/hatakeyama/index.html