茶碗と空間
作者は千家十職の茶碗師、樂吉左衞門氏です。
樂氏は茶碗はそれだけ見てもわからない、ふさわしい場に置かれるべきものとお考えになって、さまざまな茶碗をいろいろな場所で拝見し、思索しています。
珠光青磁茶碗 と 大徳寺龍源院
大井戸茶碗「東方朔」 と 醍醐寺三宝院
長次郎黒樂茶碗「ムキ栗」 と 待庵
志野茶碗「老の友」 と 藪内燕庵
光悦赤樂茶碗「乙御前」 と 角屋
それに
樂氏作の焼貫黒樂茶碗「入渓」 と 樂氏設計の樂吉左衞門館盤陀庵
と進みます。
お茶碗はそれぞれの場に確かにぴたっと落ち着いて絵になります。
ただ乙御前は、島原の角屋よりもその後撮影した樂氏ご自宅の茶室の方が落ち着いて静かに喜んでいる気がしました。
樂氏の文章を読みますと、茶碗やお茶に対していかに深く思索なさっているのか分かり、感嘆してしまいます。
そのお考えを要約もできず、とても書ききれないので、お読みいただければと思います。
登場したお茶室のうち、佐川美術館の盤陀庵に入ったことがあります。水の底にコンクリート造りではありますが、不思議なことに確かお茶室でした。
書籍情報
- タイトル
- 茶碗と茶室: 茶の湯に未来はあるか (とんぼの本)
- 著者
- 樂吉左衞門,木村宗慎,川瀬敏郎
- 出版社
- 新潮社
- Amazonリンク
- Amazonでこの本を見る