いちわん

~ 楽在一碗中 ~
お茶の本

茶道具の味わいどころ

侘び茶の茶道具

2013_b017_01この本は、千家流ならではの侘び茶の茶道具について書かれています。

著者の一人は、表千家という流派を超えた茶道界全体の重鎮でいらっしゃる堀内宗心宗匠です。

宗心宗匠は、侘び茶を体現されていて、著書や人づてに聞いたお話で、大ファンになりました。

一度デパートの展覧会で宗心宗匠をお見かけしまして、丁寧でお優しい中で一本筋を通した気概を感じました。

茶入、薄茶器から始まり、茶杓、花入、釜、水指、香合、建水、蓋置、炭斗・灰器、莨盆へと、岩崎氏との対談を通じて、宗心宗匠のお考えが語られます。

茶道具の種類よりも、茶道具のここがポイントということを知りたい方にお勧めします。

それに、茶道具好きな人は、眺めているだけでも満足できるのでは、と思います。

 

書籍情報

タイトル
茶道具の味わいどころ (お茶のおけいこ)
著者
堀内宗心,岩崎博
出版社
世界文化社
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自慢できる茶室をつくるために

茶室のことならこの一冊

2013_b016_01茶室を勉強したい方、特にこれから茶室を作ろうと考えている方には、ぜひこの本をお薦め致します。

(だいぶ前の本ですが、知る範囲ではこれを超えた茶室の本は見当たりません)

玄関と寄付、露地、躙口、床の間、炉と畳、窓、亭主の出入り口、水屋・・と茶室に関するあらゆることを解説しています。

お茶室を作るときにもちろん全てを満たすことはできないですが、こういう機能が必要なので、本来どうあるべき、ということは知っておいた方がよいと思います。

なお、タイトルは、「自慢する茶室をつくるため」ではなく、(茶事を行うために)「ほんとうに自慢できる茶室とは、このような茶室なのですよ」という意味とのことです。

自分は、茶室の勉強のために求めました。

書籍情報

タイトル
自慢できる茶室をつくるために
著者
根岸照彦
出版社
淡交社
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基本の割りげいこ

三十年後の・・

2013_b015_01この本も「初歩の茶道 割稽古」と同様に、裏千家で最初に習います割り稽古について書かれています。

ほとんどカラー写真で、女性の方がお手本を示しており、だいぶソフトで分かりやすい感じがします。
三十年の時代の差でしょうか。

未読なので紹介することはできませんが、淡交社から「裏千家茶道 点前教則」というグリーンの本に代わる教科書が2010年より発行されていて、こちらもカラー写真た数多く掲載され、説明も細かいです。

こちらの写真はベテランの業躰先生がお点前されており、印象が少し異なります。

書籍情報

タイトル
裏千家茶道・基本の割りげいこ (お茶のおけいこ)
著者
阿部宗正
出版社
世界文化社
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初歩の茶道 割稽古

最初のお稽古

2013_b014_01

裏千家でお茶のお稽古を始めて、最初に習いますのが割稽古です。

「和敬清寂」や利休七則を紹介した入門の心得、裏千家歴代、割稽古、客の心得、盆略点前、千歳盆点前、水屋の心得が書かれています。

お稽古を始めた時はよく読みましたが、その後は本を開くことはなく・・

久しぶりに読み返しまして、「入門の心得」に感銘を受けました。

茶道と禅との関連を説明し、「自己を修練するということ、そしてお互いに尊重しあうということ、この二つの精神こそ茶道の教え、求めるところである」と結論づけていらっしゃいます。

「自己を修練する」というのは、そうありたいと思います。ぜひ「入門の心得」をご一読くださいませ。

このシリーズの教科書は、初版が40年ちかく前で、業躰先生皆さまのお若いころの様子(白髪もなく若々しく・・)を拝見することができます。

あと余談ですが、ISBNコードが「4473000001」で、もしかしたら淡交社で最初にISBNコードが設定された本かも知れません。

 

書籍情報

タイトル
初歩の茶道 割稽古 裏千家茶道教科 点前編(1)
著者
千宗室
出版社
淡交社
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数寄者日記―無作法御免の茶道入門!

三重苦の数寄者

2013_b013_01お茶のお稽古を始めた頃に入手した本です。

三重苦とは作者曰く、「無作法、無器用、無教養」とのことで、その三重苦の作者が、お茶のお稽古を始めて、二年経ってお茶会を開催するまでの顛末が書かれています。(数寄者は、ここでは、「すきもの」と読みます)

作者は、第3回「海燕」新人文学賞を受賞した作家で、とにかく強烈なお稽古振りです。

点前をすっかり忘れても「明鏡止水」の心境で平然とし、懐石料理ではお刺身をミンチにし、点前中に足が痺れて点前座で胡座をかく等々、くらくらするようなエピソードが一杯です。

お茶のお稽古というと堅苦しくて厳粛なものなのでは・・と思っていたところにこの本を読みまして、そうでもないということが分かりました。
(もちろん実際はこれほど強烈ではないです)

私のように、お茶のお稽古は・・と思っていらっしゃる方にお勧めします。

この本に登場します「天使」さんは、その後フリーランスの編集者になりまして、現在も元気に活躍していらっしゃいます。

 

書籍情報

タイトル
数寄者日記―無作法御免の茶道入門!
著者
小林恭二
出版社
淡交社
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茶道具は語る―記憶に残る茶事を催すコツ

「する茶」への手がかり

茶道具は語る

「する茶」のすすめ

著者は「する茶のすすめ」として、冒頭次のように書いています。

『利休以来、当初は「する茶」ばかりであったが、明治以降「教える茶」が中心となってしまった。これからは「する茶」と「教える茶」のバランスを取り戻さないと茶道界の新しい展開はない。「する茶」が増えれば点前作法を学ぶ必要があり、「教える茶」も発展するはずである。』

「教える(教わる)茶」も楽しいですが「する茶」の茶事はさらに楽しいと思います。でもそれを実現するにはどうしたらよいかという疑問には著者は次のような考えです。

『茶事を継続して実施するには、グループを作って「しなければならない」環境にすることが第一として、著者自身も三十年前からグループを作り主客持ち回りで現在まで茶事を継続して行っている。』

これは良いアイデアで、一人で茶事を行おうと思ってもなかなか実現できないですが、グループで持ち回りにしますと刺激も強いですし実施しようというモチベーションが向上します。

また著者は、茶事は楽しいだけでなく『茶事は亭主となる人の人格と教養のすべてを使い、日本人が育ててきたあらゆる文化を取り込みながら、室礼と振舞でもってもてなしする。茶事には亭主の全人格と教養が表れるといっても過言ではない。』としています。

確かに茶事を行いますと、茶事のテーマや道具の取り合わせで亭主の教養や趣味の良さ、言動や所作や気配りの様子で人となりが分かってしまいます。怖い反面、亭主の自分を知ってもらうこと、亭主の方をよく知ることという楽しみもあります。

趣向へのアプローチ

このような提言を踏まえて、茶事の趣向へと話が進みます。
源氏物語「匂宮」、東大寺「お水取り」、追善、七夕、重陽、口切、「仮名手本忠臣蔵」、歳暮・・と茶席や茶道具の写真も多く、解説も豊富で、わくわくしながら読みました。

私もグループを作って茶事を継続して実施できればと思っています。
流派のお茶ではなく茶事中心に書かれていますので、流派に関係なく、お茶好きや茶事に興味のある方にお勧め致します。

 

書籍情報

タイトル
茶道具は語る: 記憶に残る茶事を催すコツ
著者
筒井 紘一
出版社
淡交社
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好み物の世界

茶人のデザイン力

2013_b012_01

好み物とは序章に「特に茶道具において、茶人や宗匠方によって、その道具の姿・形について、その意匠(デザイン)を自分の思いを表現することによって出来た道具の姿・形を指します」とあります。この本は、主に裏千家の家元によってデザインされた道具を集めたものです。

素晴らしいデザインの棗
好み物として棗は多く、この本に取り上げられた中でベスト3と思う棗を紹介します。

曙棗
十一代の玄々斎に好まれ、八代宗哲によって作られました。目にも鮮やかな曙色(淡紅色に黄味を帯びた色)の朱塗の上に黒絵で松と鶴を描いた香次形の茶器です。長男一如斎の「点茶始披露」の折りに好まれました。有名な茶器で、初釜等で写しをご覧になった方も多いと思います。

梅月棗
十四代淡々斎に好まれ、十四代一閑と十一代宗哲の合作です。曙棗と違いざっくりとした朱塗の一閑張大棗に梅の木一幹と銀蒔絵の月、金蒔絵の梅花を描いたのもので、梅の香漂う春の夜の雰囲気が表現されています。

亀蔵棗
十三代圓能斎に好まれ、一閑によって作られました。黒塗の一閑張中棗に、朱漆と青漆で一から九までの点が配置されています。これは九星を文様化したもので、そのデザインが現代的で素晴らしいです。

変化していく好み物・・再好
好み物の中では、先達が好んだ物を別の道具に変化させて好むという「再好」という考え方があります。

苫屋棗
九代不見斎が好んだ松ノ木香合を、玄々斎がとまや香合として松溜塗から焼杉に変えて好みました。さらに淡々斎は苫屋棗という別の道具にして好みました。

更好棚
お稽古でよく扱います更好棚は、利休好みの三重棚を玄々斎が天板を取り去って使いやすく再好みしたもので、名前も「更に好む」の意味で「更好棚」と名付けられました。更に十五代鵬雲斎により黒塗爪黒更好棚として再好みされています。

個々の好み物の由来やその意味が詳しく書かれており、お茶の奥深さの一端を学ぶことができて他流派の方にもお勧め致します。

また裏千家の好み物の資料としては、茶道資料館で発行している「裏千家歴代好み物」という600頁を越える大部の本があり、鵬雲斎までの五百数十点の好み物が紹介されています。

 

書籍情報

タイトル

好み物の世界: 茶の湯の道具 宗匠方が託した趣の沙汰

著者

目片宗弘

出版社

淡交社

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茶の湯読本

楽しく深いお茶の話

茶の湯読本作者の井口海仙氏(明治33年-昭和57年、1900年-1987年)は裏千家十三代家元圓能斎の三男で、前家元鵬雲斎大宗匠の叔父にあたります。

井口氏は、兄の十四代家元淡々斎の補佐役として活躍しました。

活動は、裏千家の機関誌の主宰、新修茶道全集や茶道辞典をはじめとするさまざまな書籍の出版、茶道研修所(現裏千家学院)の講師、珍しいところでは数々のテレビ番組に出演など茶道の普及に務めました。

内容は、

 第一章 茶道こぼれ話
 第二章 食べ物談義
 第三章 茶染随筆

 

という構成で、第一章は、名残り、続き薄茶、炭斗、茶筅、棗・・といったお茶の言葉の解説です。

ただ他の本と違うところは、名残とは・・と一次的な言葉の説明だけでなく、古書を調べ、古老に話を聞いてさらに一歩踏み込んだ解説が書かれ、勉強になります。

例えば「雪吹(ふぶき)」という上下に面取りしている茶器があり、これは「吹雪の夜では上も下も分からないように上下見分けがつかないのでふぶき名付け、さらに洒落て漢字を上下逆さまにした」とはよく聞きますが、古には雪を蓄える「雪次」と名付けられ、次代が経つにつれ「雪吹」と書かれるようになったということです。

第二章、第三章は食べ物やお茶に因んだ内容で、勉強になりほっとするちょっとよい話です。

井口氏が亡くなられてから三十年以上が経ち、今後も、このようにお茶の楽しくて深い話をお書きになる方が活躍されればよいなと思います。

 

書籍情報

タイトル
新版 茶の湯読本
著者
井口 海仙
出版社
淡交社
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一億人の茶道教養講座

コンパクトにまとまっている「人格的教養」習得の手助け本

一億人の茶道教養講座
作者の岡本氏は社会心理学者で大学教授です。

肩書きだけ見ますと、心理学の教授がお茶を学究的にまとめたものと思いましたが、茶名をお持ちですし、内容を読めばお茶の稽古を積まれたことがすぐ分かります。

作者は「教養」を「知識としての教養」と「人格的教養」に分け、人格的教養(哲学、人間観、社会観等の主に人文的な教養)をにより重きを置いています。

また人格的教養は抽象的な感覚であり、知識的修練をとおしてのみ習得されるが、知識そのものではなく、その人の置かれた文化によって磨かれるとしています。

さらに人格的教養は、何か特定の専門性を深めることによってしか身につかないともあり、その特定の専門性として茶道を取り上げています。

序論はここまでで、ちょっと回りくどく学問的に書かれていますが、それ以降は次のように、茶道の知識的修練を行うにあたって手助けとなる知識の解説が書かれています。

 ・茶と禅のリレーションシップ
 ・茶道のキーパーソン
 ・千利休のレボリューション
 ・流派の解説
 ・「侘び」のコンセプト
 ・キーワード別にみる侘びの美観(点前の真行草、楽茶碗、茶入、茶杓・・)
 ・茶人のことば

 

どれもコンパクトに分かりやすく書かれていまして、茶道を嗜む人もそうでない人も、茶道の教養のコンセプトに触れることができ、お勧め致します。

ただ惜しむらくは、コンパクトにまとまっているためにどの項目も物足りなく感じてしまい、知識を深めるときには他の書籍にあたる必要があります。

ですので、ページを費やして序論を分かりやすく記述し、茶道の知識のボリュームを増やした版を希望します。

そうしましと一生手元に置く本になり、以前にお勧めした「裏千家茶道」と二冊があればお茶の「道・学・実」が学べると思います。

 

書籍情報

タイトル
一億人の茶道教養講座 (淡交新書)
著者
岡本 浩一
出版社
淡交社
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京の茶の湯あそび

あなどれない小本

京の茶の湯あそび
表紙は可愛く、前書きにも「初心者でも気軽に楽しめる茶会ばかりを集めてみました」とあり、お寺や喫茶店で抹茶をいただくようなお茶の入口にいるような方を対象にしているのではと手に取ったときに思いました。

ところが内容を読んでみますと、西陣の富田屋の着物茶会、嵐山の老松の菓子茶事に始まり、次のように春夏秋冬の京都の茶会を紹介しています。

 
 春・・平安神宮の観桜茶会
    数寄町屋・粋伝庵の雛祭り茶会
    富田屋の夜桜茶会
 夏・・高台寺の夕涼み浴衣茶会
    下鴨神社の蛍火の茶会
    祇園祭の菊水鉾茶会
 秋・・大覚寺の観月の夕べ茶会
    富田屋の名残の茶会
 冬・・千本ゑんま堂の除夜釜
    北野天満宮の梅花祭野点大茶湯

 

この他にも立礼のお茶の稽古、茶の湯体験が紹介され、その間に、季節のお菓子や花、お茶の言葉が絵入りで説明されています。

お茶会はどれもカラー写真で楽しく紹介されて、思わずいろいろなお茶会にも行ってみたくなります。その中でも、特に侘びた千本ゑんま堂の除夜釜に参加したいです。

紹介されたお茶会で行ったことがあるお茶会は、菊水鉾茶会で、喧噪の中、祇園祭りの山鉾鑑賞の間にほっとするひとときでした。

暑い中、冷たいお菓子「したたり」と美味しいお抹茶で新しい元気をいただきました。

 

書籍情報

タイトル
京の茶の湯あそび (らくたび文庫)
著者
「らくたび文庫」編集部
出版社
コトコト
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