Made in さまざま
湯木美術館にて、「海を渡ってきた茶道具」展を拝見してきました。
今回は「海を渡ってきた」というテーマで、室町~江戸初期に海外から渡来した茶道具のうち、「唐物」(中国)、「高麗」(朝鮮)、「南蛮」(東南アジア)それにヨーロッパといった世界各地のさまざまな茶道具が展示されていました。
主な茶道具の産地は次のとおりです。
唐物:唐物茶入「みほつくし」、砧青磁管耳花入、祥瑞蜜柑水指、禾目天目茶碗
高麗:三足香炉「三国一」、青井戸茶碗「春日野」、彫三島茶碗
南蛮:南蛮芋頭水指、南蛮縄簾水指、砂張釣花入、独楽盆
その他:阿蘭陀焼染付替茶器
特に心に残りました茶道具は次の四点です。
南蛮芋頭水指 森川如春庵所持
大きな里芋のような形をしており、堂々としており圧倒的な存在感があります。
萬暦己丑年(1589年)と彫られていて、製造年が分かります。
中国磁州産の宝珠形の蓋が添っていまして、ユニークなたたずまいで、さらに名古屋の大茶人森川如春庵氏は真塗の蓋を四枚添わせています。
濃茶席にぴったりだと思います。
唐物茶入 銘「紹鴎(みほつくし)茄子」 鴻池家伝来
茶入そのものは小振で、愛らしい印象を受けます。
ただしその次第が、利休所持の若狭盆、紹鴎好み・織部好みの象牙蓋、内箱蓋裏には遠州、外箱蓋裏には坂本周斎の箱書と多くのスター茶人が称えている名品です。
青井戸茶碗 銘「春日野」 広岡家・松岡家・益田家伝来
青味と枇杷色が綺麗なお茶碗で、濃茶の緑が映えそうです。
「大正名器鑑」には「瀬尾」(福岡市美術館蔵)、「竹屋」(個人蔵)と並ぶ「東都青井戸の三名品」としており、「柴田井戸」(根津美術館蔵)とも並ぶと評価されています。
阿蘭陀焼染付替茶器
オランダのデルフト焼で、一見中国産の祥瑞や染付のように見えます。
はるばるヨーロッパから・・と感慨深いです。
海外からの茶道具をいろいろ拝見しまして、海外との移動や運搬、連絡もなかなか難しかった時代に、よくぞ世界各地から手に入れて茶道具としたものだと深く感銘を受けました。
●展覧会情報
平成26年春季特別展 海を渡ってきた茶道具
湯木美術館(大阪市中央区)
2014年4月1日~2014年6月29日
http://www.yuki-museum.or.jp/