日本のやきものを辿って
石洞美術館にて、「日本のやきもの展」を拝見して参りました。
石洞美術館は、金属加工会社の創業者・社長であった佐藤千壽氏が2005年に設立したもので、佐藤氏のコレクションを中心にした所蔵品で構成されています。「石洞(せきどう)」は佐藤氏の雅号です。
美術館の建物は隣接する金属加工会社と共に煉瓦タイル貼りの六角形というユニークな形をしており、展示室は一階と二階、さらに一階から二階へ続くスロープに作品が展示されています。
今回のテーマは「日本のやきもの」で、縄文時代から現代までの日本で作られたやきものが並び、およそ五千年の日本のやきものの歴史が一望できます。
展示は縄文時代から始まります。土器は素朴な土味で、五千年前とは思えないほどしっかりとデザインしています。水煙土器は、水が湧き出すようなモチーフで力強いです。
それが弥生土器になりますと、装飾がほとんどなくなり滑らかでつるりとした器になります。祭器から実用化してより多く作るようにするためでは、と想像が膨らみます。
12世紀以降の器になりますと、もうお茶で使われるようになり、山茶碗 銘「渓聲」のように銘がつけられ、愛でられていたことが分かります。
その後からは、備前の火襷、志野の向付、黒織部茶碗、染付吹墨月兎文皿、色絵伊勢物語図皿・・とお馴染みのやきものが並び、現代まで続きます。
現代作家では宮本憲吉、河合寛次郎、北大路魯山人、川喜田半泥子・・と豪華なラインアップです。
また、他の展覧会ではなかなか拝見できないコンプラ瓶(明治時代に醤油等を輸出するのに使用した陶器製の瓶)や輪トチン(やきものが窯にくっつかないように乗せる陶器のリング)も展示されていました。
石洞美術館は他にも茶の湯釜、漆器、ガンダーラ仏像、スペイン陶器等のコレクションも所蔵しているとのことで、今後の展覧会にも期待できます。
●展覧会情報
日本のやきもの展
石洞美術館(東京都足立区)
2015年9月5日~2015年12月20日
http://sekido-museum.jp/index.html