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~ 楽在一碗中 ~
千家十職 手業の小宇宙

千家十職 手業の小宇宙

お茶のアルチザン-アーティストではなく

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三千家(表千家、裏千家、武者小路千家)の家元好みの道具を作る職家を「千家十職」と呼びます。家元出入りの職家は時代によって人数が増減して、ほぼ今の家が出揃うのが約250年前で、現在の形は、大正時代にデパートの展覧会で「千家十職」というネーミングができたというのが通説です。

本の内容は、職家一家ごとの歴史、作品、インタビューから構成されています。作品は当代作を中心にカラー写真で紹介していまして、その美しさに思わず見とれてしまいます。

十職現在は次のとおりで、どこの家も十代以上続いています。

永樂善五郎  十七代 土風炉・焼物師
大西清右衛門 十六代 釜師
奥村吉兵衛  十二代 表具師
黒田正玄   十三代 竹細工・柄杓師
駒澤利斎   十四代(故人) 指物師
土田友湖   十二代 袋師
中川浄益   十一代(故人) 金もの師
中村宗哲   十三代 塗師
飛来一閑   十六代 一閑張細工師
樂吉左衞門  十五代 茶碗師

本には職家が客として参加した、風炉と炉の正午の茶事の記事もあり、茶席での会話や道具組も興味深く読みました。

どの職家も、家の歴史と自分の仕事に対する真摯な姿勢を感じました。

例えば、黒田氏は四、五年寝かした竹を使い、飛来氏は十年寝かして狂いのない木地を選び、樂氏は曾祖父の土で茶碗を作ります。とても一、二年のスパンではない仕事の進め方に驚きます。

あるインタビューで、職家の一人が「職家はあくまでも職人で、芸術家ではない。独創的な道具でなく、用の美を持ち、お家元やお茶人の意向にそったものを作る」と読んだ記憶があります。

熊倉功夫氏は、「千家十職という集団は、世界中見渡しても全く類例のない、その存在そのものが奇蹟としかいいようのない独特の職人の組織です」と書いており、深く納得致しました。

 

書籍情報

タイトル
千家十職 手業の小宇宙
著者
出版社
世界文化社
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