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やきものに親しむⅩ 古染付と祥瑞展

やきものに親しむⅩ 古染付と祥瑞展

中国に求めた日本の美

出光美術館

出光美術館

出光美術館で、「やきものに親しむⅩ 古染付と祥瑞」展を拝見してきました。

出光美術館は出光興産創業者の、出光佐三氏(明治18(1885)~昭和56(1981))のコレクションを公開するためのもので、昭和41年(1966)に創立され、仙がい、工芸品・陶磁器・茶道具、ルオー等がコレクションの中心です。

今回は「日本人の愛した<青>の茶陶」という副題のもとに、古染付と祥瑞を取り上げています。

では古染付と祥瑞とはどのような器でしょうか。

今回は、古染付:中国天啓時代(1621~27)、祥瑞:崇禎時代(1628~44)のころに景徳鎮民窯で作られ、日本に輸出された青花(染付)と説明されていました。青花(染付)とは白地に呉須(コバルト)で文様を描いた磁器です。
両者はいずれも染付ですが、実際に作品を拝見しますと、作風がだいぶ違うことが分かります。

古染付

古染付の展示は、水指と花生から始まりました。

「古染付葡萄棚文水指」、「古染付高砂花生」と現在でも写しが作られるほどオーソドックスな器が並びます。

続いて手付鉢・水注、皿と鉢と続きます。
ここで興味を惹いたのが「古染付周茂淑愛蓮図皿」です。周茂淑が釣り糸を垂れているちょっと愛嬌のある図柄で、思わず微笑んでしまいます。

古染付は、ゆるい文様、ユーモラスな漫画のような絵が特徴的のようです。
展示されている向付は、ウサギ、鶏、馬、タケノコ等がありまして、どれもひょうげた図柄で味がありました。

釣りをしている周茂淑は11世紀の中国の有名な文人で、皿の他に有名な形物香合の「古染付周茂淑文香合」(西二段目四位)もありました。

また形物香合として「古染付手付香合 銘隅田川」(西四段目十四位)も展示されていました。なぜ中国の香合に「隅田川」と名付けたのか調べたところ、柳と屋形船の意匠と橋に見立てたハジキ(弦状の摘み)の形から名付けたとのことです。

ただ今回展示されていた香合は柳と人のみで、屋形船は描かれていませんでしたが、ハジキが付いており、「隅田川」と名付けたと思います。

祥瑞

祥瑞は鉢・皿・徳利から始まりました。古染付と比較して、緻密・精巧・丁寧で、作品によってはみっしりと描かれて息が詰まるようでした。

展示している中で有名なものは、「祥瑞蜜柑水指」で堂々としてお茶席の主役になれる資格があると思います。

形物香合は「祥瑞立瓜香合」(西二段目八位)「祥瑞茄子形香合」(三段目九位)がありました。
古染付では見かけなかった茶碗があり、こちらは精密な絵柄で山水文や松竹梅文が描かれていました。その中では「祥瑞遊舟文洲浜形茶碗」の形と図柄の美しさに心惹かれました。

その他に複数の色を使用した色絵の作品もありましたが、染付と比較しますと今一つ魅力が及ばない気がしました。

古染付も祥瑞も日本への輸出が多かったようで、中国で作られたものの、白にコバルトブルーは日本の美だな納得して展覧会を後にしました。

 

展覧会情報

古染付と祥瑞

名称
やきものに親しむⅩ 古染付と祥瑞
会場
出光美術館(東京都千代田区)
会期
2013年5月25日~2013年6月30日
公式サイト
http://www.idemitsu.co.jp/museum/

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