趣向でクールに
畠山記念館にて「涼をもとめて -畠山即翁の朝茶事-」展を拝見しました。
畠山記念館は、荏原製作所の創立者である畠山即翁(一清)氏(明治14(1881)~昭和46(1971))の茶道具を中心とした美術品を収集した美術館です。
所蔵品は唐物茶入や光悦のお茶碗を始め名品揃いで、さらに即翁氏は茶事を頻繁に行ったとのことで懐石道具も多いのが特徴です。また館内には茶室が幾つもあり、現在も茶会が行われており、まさにお茶の美術館です。
今回は、昭和13年(1938)に即翁氏が上野不忍池弁天堂で行いました朝茶事の道具を、茶会記をもとにできるだけ再現した展示です。しかも道具だけでなく、懐石の写真が添えてあり一層興味を増していました。
また即翁氏もその一人でした近代の数寄者由来の道具も展示していました。
お茶では、冷たい懐石といった直接的な涼しさだけでなく、道具やその使い方といった趣向で涼しさを表現します。
今回の展示ですと
滝図掛物
錠花入 仁清作
唐物瓢形籠花入
信楽水指 銘 玉兎
ととや茶碗 銘 隼
砂張青海盆
高取透鉢
黒掻合せ椀
といった品々です。
籠花入の竹の編んだ姿や掻合せの木目に涼しさを感じます。信楽やととやといった無釉や砂張の硬い感じが夏に向いています。水を打つとさらに涼しさを感じます。
錠花入も無釉の焼締めで朝顔が入れてあり、早朝にぴったりでした。
向付は仁清の白釉で、広口の蓋を逆さにしてさらに白髪豆腐を入れた写真が添えてあり、道具使い方と懐石の見事さに朝茶事の席に入った自分を想像していました。
今回の展覧会は、主道具、炭道具、懐石道具といった朝茶事の道具組を実際に拝見する良い機会ですので、お勧め致します。
後半は、即翁氏や朝茶事に参加した、松永耳翁氏や藤原銀次郎氏に加えて、同時代の数寄者の益田鈍翁氏や森川如春氏、原三溪氏の書といった縁の道具が展示されていました。
今回の展示期間は、当時の朝茶事にも出しました、金沢「吉はし」の蓮羊羹をお抹茶といただけるのですが、人気があって残念ながら品切れでした。
ご興味のある方は美術館のホームページで日程を調べていただき、朝一番の訪問をお勧めします。
展覧会情報
- 名称
- 平成二十五年 夏季展 涼をもとめて -畠山即翁の朝茶事-
- 会場
- 畠山記念館(東京都港区)
- 会期
- 2013年8月3日~2013年9月16日
- 公式サイト
- http://www.ebara.co.jp/csr/hatakeyama/index.html