琳派の茶
畠山記念館にて「THE 琳派」展を拝見して参りました。
最近の琳派ブームに加え、日曜美術館や新聞でも案内され、かなりの人出でした。
琳派といいますと、金銀の装飾や墨のたらし込みが浮かびまして、軸は別として茶席にあまり馴染まないのではと思っておりました。
ところが見事に茶道具が揃っており、順々に紹介致します。
まず最初は本阿弥光悦(1558-1637)作「赤楽茶碗 名 雪峯」です。
楽茶碗は侘びたもので琳派の華やかさとは違うのではと考えるところ、大きな火割れに稲妻のように大胆に金粉繕いが成されて、見事に琳派をしています。
さすがは琳派の先駆者の光悦です。
ダイナミックな「雪峯」を拝見していますと、対照的な静かな佇まいの「白楽茶碗 銘 不二山」を思い出しました。
こちらは雪を頂いた富士山を彷彿とさせる侘びた風情のお茶碗です。
旧姫路藩主・酒井忠正から「雪峯」と「不二山」の譲渡を申し出られた即翁は、「不二山の酒井家か酒井家の不二山か」というほどの縁を慮り、「雪峯」を選び譲り受けたということです。
もし「不二山」も譲り受けたならば、ここに二碗を揃って拝見できたかも知れないと想像しました。
次に圧倒されたのが、光悦書・俵屋宗達(生没年不詳)下絵という豪華な共作の「金銀泥薄下絵 古今集和歌巻」です。
金銀泥で描いた薄の料紙に光悦の流麗な書が冴え渡り、これぞ「琳派」と言える華やかな作品でしばし見とれてしまいました。
他には「琳派」の名前の元になった尾形光琳(1658-1716)とその弟である尾形乾山(1601-1682)の作品が並びます。
光琳は「共筒茶杓 銘 寿」、乾山は「色絵福寿文手鉢」や「銹絵染付絵替り四方向付」といった懐石道具が展示されていました。
両者は外側は文様や文字が描かれておりますが、内側は無地か大きな模様で、料理が映えそうです。
さらに気に留まりましたのは、光悦の孫の本阿弥光甫(1601-1682)です。
光甫は、琳派の華やかさから離れて信楽焼を用いて号の「空中」から名付けた「空中信楽」が有名です。
今回は、その信楽の「信楽砂金袋香合」や「信楽振出 銘 老茄子」、「共筒茶杓 歌銘 谷風」が出品されていました。
他にも乾山作「銹絵松図茶器」や「色絵菊文竹節蓋置」、乾山作・光琳絵「銹絵染付火入」といった茶道具に加えて、琳派の酒井抱一(1761-1829)や鈴木其一(1796-1858)の華やかな軸や屏風も拝見致しました。
●展覧会情報
開館50周年記念 THE 琳派
畠山記念館(東京都港区)
2015年1月17日~2015年3月15日
http://www.ebara.co.jp/csr/hatakeyama/index.html