いちわん

~ 楽在一碗中 ~
畠山即翁の大師会茶会(畠山記念館)

畠山即翁の大師会茶会(畠山記念館)

誇り高き初陣

畠山即翁の大師会茶会

畠山記念館にて、「畠山即翁の大師会茶会」を拝見してきました。

今回は、畠山即翁が大師会で昭和12年(1937年)に初めて茶席を担当した際の取り合わせを中心とした展示です。

大師会は、三井物産の創始者であり茶人である益田鈍翁が、明治28年(1895年)に弘法大師(空海)の書を入手した記念に翌年から始めた茶会で、光悦会と並んで現在まで続く二代茶会のひとつです。

即翁は、寄付で信長ゆかりの書状を掛けて茶会の趣向を暗示し、本席では信長・秀吉・利休を意識した取り合わせに遠州・不昧旧蔵の道具を加えています。

主な茶道具は次のとおりで、即翁の力の入れ様を感じます。

掛物は、寄付の紹翁書状と本席の南楚師説墨跡 送別語です。

茶碗は、信長が所持したことにより銘が付けられた井戸茶碗「信長」で、梅花皮(かいらぎ)がしっかりあり、堂々としています。

茶杓は利休作の「落曇」で、秀吉が曲げ直そうとして失敗して打ち破ろうとしたところ侍医が拝領したというエピソードがあります。

茶入は、瀬戸金華山窯で制作された滝浪手の本歌です。撫肩の肩衝で、釉薬が一筋流れていることから遠州が「滝浪」と銘々されました。遠州の箱に不昧の箱が添っています。

また今回は、大師会の発起人である益田鈍翁の茶道具も展示されました。

その中では、鈍翁好みの渡辺喜三郎作の太夫棗に惹かれました。

太夫とは松の異名で、沢庵和尚ゆかりの老松で作ったとあります。碁笥底の溜塗で非常に薄造りということです。

もう一つは、鈍翁が茶事で豆腐を切り分けるのに使ったとある同じ喜三郎作の豆腐茶箱で、鈍翁のユーモラスな茶事振りを思い浮かべました。

 

●展覧会情報

畠山即翁の大師会茶会 ―井戸茶碗信長の取り合せ― 【併設】益田鈍翁ゆかりの茶道具
畠山記念館(東京都港区)
2015年4月4日~2015年6月14日
http://www.ebara.co.jp/csr/hatakeyama/index.html

« »