吉兆と宝塚歌劇
湯木美術館で、「茶道具の創出(クリエイト)・再生(ルネサンス)・世界化(グローバル)」を拝見して参りました。
今回の三つのテーマは次のように解説されていました。
・創出(クリエイト)・・利休のように、茶道具を新たに作り出す
・再生(ルネサンス)・・光悦のように美の回帰や再生を行う
・世界化(グローバル)・・世界のさまざまな器物を茶道具に見立てる
小林一三(逸翁)氏(1873-1957年)は、湯木貞一氏(1901-1997年)より28歳年上で、両人とも数寄者として交流があったようです。
それぞれの特徴は、
湯木氏・・不昧の茶懐石がスタートで、遠州の綺麗さびと千家の伝統的お茶がベース
逸翁氏・・時代に即した新しい茶道感
であり、今回展示された茶道具もその違いを表しています。
三つのテーマに沿って、心に残った作品を挙げます。
・創出(クリエイト)
湯木氏・・長次郎黒樂「春朝」、のんこう黒樂「是色」
逸翁氏・・嵯峨嵐峡蒔絵中次
・再生(ルネサンス)
湯木氏・・宗旦茶杓「五条橋」、佐竹本三十六歌仙絵「在原業平」
逸翁氏・・光悦作黒茶碗、光悦筆新古今和歌集切
・世界化(グローバル)
湯木氏・・唐物小肩衝茶入「柿」、利休所持古銅ソロリ花入
逸翁氏・・イタリア草花文緑ガラス小壺茶器、秋草蒔絵螺鈿聖餅箱
この中で際立っていたのが「世界化(グローバル)」で、湯木氏は侘びた唐物中心に対して、逸翁氏は華やかなガラスやイエズス会のIHSマークの入った螺鈿の器が展示されていました。
その違いを拝見して、湯木氏の侘びた吉兆の茶懐石、逸翁氏の華やかな宝塚歌劇を連想しました。
●展覧会情報
平成27年 春季特別展 茶道具の創出(クリエイト)・再生(ルネサンス)・世界化(グローバル)(前期)
湯木美術館(大阪市中央区)
2015年4月3日~2015年6月7日
http://www.yuki-museum.or.jp/