この世の楽園
東京都美術館にて「生誕三百年 若冲展」を拝見して参りました。
今回は、宮内庁三の丸尚館に所蔵している若冲の「動植綵絵」三十幅が近年東京で初めて一堂に展示されます。
(動植綵絵は、京都の相国寺では2007年に三十幅が展示されたことがあり、東京では三の丸尚蔵館で数点ずつ展示されたことがあります)
しかも今回はジョー・プライスコレクションも併せて展示されるという貴重な機会です。
伊藤若冲(1716-1800年)の作品の中で何といっても動植綵絵の技法の高さは抜群だと思います。近づいて見れば見るほどその緻密さと凄さが実感できます。しかも絹本の特徴を活かして裏面からも描いていると聞き驚きました。
対象はタイトルのとおり、鳥、獣、魚、虫、魚、貝・・の動物と松、牡丹、薔薇、梅・・の植物で、「山川草木悉皆成仏」という仏教の教えのように様々な生き物を描いています。
動植綵絵の三十幅は次のとおりです。
1.老松孔雀図
2.老松白鳳図
3.薔薇小禽図
4.牡丹小禽図
5.梅花皓月図
6.梅花小禽図
7.老松鸚鵡図
8.老松白鶏図
9.梅花群鶏図
10.棕櫚雄鶏図
11.向日葵雄鶏図
12.南天雄鶏図
13.芙蓉双鶏図
14.紫陽花双鶏図
15.群鶏図
16.大鶏雌雄図
17.芍薬群蝶図
18.秋塘群雀図
19.雪中鴛鴦図
20.雪中錦鶏図
21.芦鵞図
22.芦雁図
23.池辺群虫図
24.貝甲図
25.諸魚図
26.群魚図
27.蓮池遊魚図
28.菊花流水図
29.紅葉小禽図
30.桃花小禽図
拝見していて気がつきましたのは、若冲の絵は、超精密な部分と水墨画にあるようなざっくりとした描き方がほどよく混在しているということです。
例えば芦鵞図は鵞鳥を丁寧に細かく描き、背景の芦は墨絵でさっさっと描いています。
若冲の他の作品では、ジョー・プライスコレクションの「鳥獣花木図屏風」の升目で描くというユニークな発想に驚きました。
水墨画ももちろん多数あり、その中では「玄圃瑤華」という動植綵絵のように動物や植物を描いた、青裳堂から出版された版画本も展示されていました。若冲の本は初めて拝見しました。
●展覧会情報
生誕300年記念 若冲展
東京都美術館(東京都台東区)
2016年4月22日~2016年5月24日
http://www.tobikan.jp/index.html