茶道具は文様をまとって
茶道資料館にて「文様ことはじめ -茶道具の文様と意匠-」を拝見して参りました。
茶道具には様々な文様が施されています。文様は、茶事茶会では亭主がテーマを表現する手段の一つで、客側は亭主の意図を解き明かす糸口になります。文様の持つ意味を説くには幅広い知識が必要で、それだけに奥深く楽しみのつきない世界といえます。
展示は草花の文様から始まります。
<梅>
・利休梅蒔絵黒大棗、利休梅朱絵大棗 十二代中村宗哲作・・利休梅が金蒔絵と朱漆で描かれています
<桜>
・桜画賛 大綱宗彦賛、海北友徳画
・花筏蒔絵真塗手桶水指・・水に流れる桜の花びらを花筏と呼ぶのは素晴らしいセンスだと思います
<菊>
・桐木地菊置上香合 淡々斎在判・・木地に置上の白い菊がすっきりとした印象です
・色絵菊文茶碗・・野々村仁清作
<紅葉>
・小倉山蒔絵硯箱
・雲錦蒔絵折撓中棗・・桜を雲に紅葉を錦に見立てており、これも素晴らしい発想です
次は物語からの文様です。
<伊勢物語>
・蔦の細道蒔絵火入 円能斎好み・・静岡県宇津の谷越えの古道で伊勢物語に登場します
・富士絵菓子盆 円能斎直書・・富士を見ながらの東下りです
<源氏物語>
・現時物語絵貝桶・合貝
動物文様もたくさんありましてその一部です。空想の動物もいます。
・蝙蝠画賛「五福寿齢高」 淡々斎賛、平田斎画 ・・中国では蝙蝠を「福が来る」に通じるとして縁起がよいとしています
・亀香合 了入作
・牛香合 四代清水六兵衛作
・色絵紫鳳凰茶碗 十六代永樂善五郎作
有馬筆、一閑人、唐子と定番の文様です。
・古染付有馬筆香合
・染付一閑人水指 五代三浦竹泉作
・染付唐子水指 五代三浦竹泉作
ここまでシンプルになりますとデザインと言えそうです。
・銹絵染付七宝文茶器 淡々斎好み 久世久宝作
・色絵利休梅つぼつぼ波紋茶碗 十六代永樂善五郎作・・つぼつぼ文は三千家共通して好まれており、つぼつぼの置き方が三千家で異なります。
・雪輪香合 円能斎好、飴釉雪輪瓦 玄々斎好 慶入作・・雪の結晶をイメージしている雪輪も素敵なデザインです。雪→銀に繋がることから円能斎が銀婚式の折りに雪輪の道具を好み、またその年の許状には雪輪を施したとのことです。
付録 北村徳齋帛紗店
茶道資料館から堀川通をはさんだ向かい側に、正徳二年(1712年)創業の茶道帛紗専門店の「北村徳齋 帛紗店」があります。
ここは看板を出しておらず、朱色の帛紗が入口に掛けられています。
お店に入りますと土間から上がって畳の部屋があり、ちゃぶ台が置かれています。
ここで探している帛紗の種類を告げますと見本を持ってきてもらえます。
特に古帛紗が種類が多く、積み上げられた帛紗から一枚ずつ拝見して選ぶことができます。
金襴、錦、緞子、紹紦、間道、風通、モール・・と本当に種類が豊富で楽しい反面迷ってしまいます。
また帛紗に関連して、数寄屋袋、帛紗挟み、志野袋も扱っていて、裂を選んで仕覆や、帯、草履等を注文することもできます。
北村徳齋帛紗店
http://kitamura-tokusai.jp/
●展覧会情報
文様ことはじめ-茶道具の文様と意匠-
茶道資料館(京都市上京区)
2016年4月22日~2016年6月26日
http://www.urasenke.or.jp/textc/gallery/tenji/index.html