いちわん

~ 楽在一碗中 ~
吉左衞門X 樂吉左衞門 樂篤人 樂雅臣 – 初めての、そして最後の親子展- (佐川美術館)

吉左衞門X 樂吉左衞門 樂篤人 樂雅臣 – 初めての、そして最後の親子展- (佐川美術館)

一期一会の親子競演、そして世代交代へ

佐川美術館

佐川美術館で「吉左衞門X 樂吉左衞門・樂篤人・樂雅臣 初めての、そして最後の親子展」を拝見して参りました。

国内では初めて篤人氏の作品がまとまって拝見できる機会です。

水指・茶入・茶碗を展示している樂吉左衞門館の最初のケースに、雅臣氏の石彫・吉左衞門氏と篤人氏の茶碗が展示されていました。吉左衞門氏は焼貫黒樂、篤人氏は黒樂平で、篤人氏の茶碗は吉左衞門氏に引けを取っていませんでした。

昼の航海の部屋には、雅臣氏の石彫が並びます。「輪廻」と名付けられた螺旋を中心に据えた作品です。

夜の航海の部屋には、篤人氏の茶碗が展示されています。

赤樂茶碗から拝見します。目を引くのは井戸形というか口が開いた朝顔のような三つの赤樂茶碗です。今までの樂茶碗では拝見したことがない形です。樂茶碗を使ってのアートとしての試みかも知れません。

他にたっぷりとした赤樂茶碗があり、フォルムは異なっていますが、吉左衞門氏を思わせる口作りでした。

黒樂茶碗は、朱薬が美しく、一入を思い出しました。勝手な思いこみですが、もしかしたら篤人氏は、吉左衞門氏をのんこうに自分は一入に見立てているかも知れません。篤人氏の茶碗からは吉左衞門氏とは異なるスタイルで作ろうしているように見受けられました。

最後に吉左衞門氏の黒樂焼貫茶碗が展示されていました。今までの箆痕の強い筒形でも光悦形の丸みをおびた茶碗でもなく、一見おとなしい正方形に近い筒形です。近づきますと表面がごつごつとした岩石のようです。

吉左衞門氏はこの茶碗を「巖石のような茶碗」と呼んでいます。現在も新しい手法にチャレンジしている吉左衞門氏に驚嘆します。

吉左衞門氏は、この親子展を「最後の親子展」とし、「たった一度出会いを結んで再び己の人生を歩み分かれて行く。それは初めてでそして最後の、一度限りの出会いです」と図録に書かれています。

篤人氏は次の吉左衞門となるべく「惣吉」を名乗り歩み始めています。

樂家の世代交代を感じさせる展覧会でした。

 

佐川美術館茶室

佐川美術館 樂吉左衞門館 茶室 外観

 

●展覧会情報

吉左衞門X 樂吉左衞門 樂篤人 樂雅臣 -初めての、そして最後の親子展-
佐川美術館(滋賀県守山市)
2016年4月16日~2016年8月28日
http://www.sagawa-artmuseum.or.jp/

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