いちわん

~ 楽在一碗中 ~
尾形光琳没後三百年記念 光琳とその後継者たち(畠山記念館)

尾形光琳没後三百年記念 光琳とその後継者たち(畠山記念館)

三百年の兄弟の合作

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畠山記念館にて「尾形光琳没後三百年記念 光琳とその後継者たち」を拝見して参りました。

今年は尾形光琳(1658-1716年)の没後三百年にあたり、弟の尾形乾山(1663-1743年)やその後継者たちの作品を展示しておりました。

展示室に入りますと、光琳と乾山の作品のためかいつになく華やかな雰囲気です。

まず目に入りますのが、乾山の色絵藤透鉢です。文様に合わせて器を透かしています。これは光琳がやきものを作り、乾山が絵付け行った兄弟の合作でこの展覧会でもたびたび登場します。

◆一つ目の展示ケースは、次の作品が並びます。
・瀬戸茶入 銘「常盤」・・瓢のようにくびれた形で、遠州の書付で「常盤なる松のみどりの春くればいまひとしほの色増さりけり」との歌が添っています。また後西院の添状も展示されていました。
・茶杓 銘「萬歳」 土岐二三作
・和歌懐紙 近衛家煕筆
 
どういう取り合わせかなと考えてみましたら、生没年が土岐二三:1638?-1732年、近衛家煕:1667-1736年と光琳・乾山と同時代であることが分かり、もしかしたらお茶会等で皆さん歓談したかも知れません。
 
 
◆二つ目のケースは、光琳・乾山揃い踏みです。
・結鉾香合 乾山作
・黒楽茶碗 銘「武蔵野」 乾山作
・銹絵染付笹文茶碗 乾山作
・茶杓 銘「寿」 光琳作
・銹絵松図茶器 乾山作
・色絵菊文竹節蓋置 乾山作
・色絵絵替り土器皿

 
ここであれは・・と思いましたのが、乾山の楽茶碗です。あのカセた肌は樂家五代宗入(1664-1716年)のお茶碗、例えば「亀毛」にによく似ていると気がつきました。

乾山・光琳は宗入の従兄にあたり、薬掛けや窯焼きのときに宗入に手伝ってもらったのでは、と想像しました。乾山の楽茶碗は華やかではなく侘びた風情であらたな発見でした。

一番奥には四季花木屏風があり、とても華やかで、菊は置上を使って立体的に際だたせていたのが印象的でした。

軸は、光琳・乾山、酒井抱一、俵屋宗達らの華やかな作品、ユーモラスな作品、墨絵のわびた作品などを拝見できました。
 
 

●展覧会情報

尾形光琳没後三百年記念 光琳とその後継者たち
畠山記念館(東京都港区)

2016年4月12日~2016年6月12日
http://www.ebara.co.jp/csr/hatakeyama/

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