いちわん

~ 楽在一碗中 ~
展覧会

海を渡ってきた茶道具展

Made in さまざま

2014_m010_02

湯木美術館にて、「海を渡ってきた茶道具」展を拝見してきました。

今回は「海を渡ってきた」というテーマで、室町~江戸初期に海外から渡来した茶道具のうち、「唐物」(中国)、「高麗」(朝鮮)、「南蛮」(東南アジア)それにヨーロッパといった世界各地のさまざまな茶道具が展示されていました。

主な茶道具の産地は次のとおりです。

唐物:唐物茶入「みほつくし」、砧青磁管耳花入、祥瑞蜜柑水指、禾目天目茶碗
高麗:三足香炉「三国一」、青井戸茶碗「春日野」、彫三島茶碗
南蛮:南蛮芋頭水指、南蛮縄簾水指、砂張釣花入、独楽盆
その他:阿蘭陀焼染付替茶器

特に心に残りました茶道具は次の四点です。

南蛮芋頭水指 森川如春庵所持
大きな里芋のような形をしており、堂々としており圧倒的な存在感があります。
萬暦己丑年(1589年)と彫られていて、製造年が分かります。
中国磁州産の宝珠形の蓋が添っていまして、ユニークなたたずまいで、さらに名古屋の大茶人森川如春庵氏は真塗の蓋を四枚添わせています。
濃茶席にぴったりだと思います。

唐物茶入 銘「紹鴎(みほつくし)茄子」 鴻池家伝来
茶入そのものは小振で、愛らしい印象を受けます。
ただしその次第が、利休所持の若狭盆、紹鴎好み・織部好みの象牙蓋、内箱蓋裏には遠州、外箱蓋裏には坂本周斎の箱書と多くのスター茶人が称えている名品です。

青井戸茶碗 銘「春日野」 広岡家・松岡家・益田家伝来
青味と枇杷色が綺麗なお茶碗で、濃茶の緑が映えそうです。
「大正名器鑑」には「瀬尾」(福岡市美術館蔵)、「竹屋」(個人蔵)と並ぶ「東都青井戸の三名品」としており、「柴田井戸」(根津美術館蔵)とも並ぶと評価されています。

阿蘭陀焼染付替茶器
オランダのデルフト焼で、一見中国産の祥瑞や染付のように見えます。
はるばるヨーロッパから・・と感慨深いです。

海外からの茶道具をいろいろ拝見しまして、海外との移動や運搬、連絡もなかなか難しかった時代に、よくぞ世界各地から手に入れて茶道具としたものだと深く感銘を受けました。

●展覧会情報

平成26年春季特別展 海を渡ってきた茶道具
湯木美術館(大阪市中央区)
2014年4月1日~2014年6月29日
http://www.yuki-museum.or.jp/

千家伝来の茶の湯釜展

千家の茶釜とは

2014_m009_02

大西清右衛門美術館にて、「千家伝来の茶の湯釜」展を拝見してきました。

今回は開館十五周年を記念してということで、三千家の協力のもと、千家好みの茶の湯釜がずらりと並びました。

特に印象に残りましたのは次の釜です。

宗旦好 口四方釜 ・・小振りの釜で口が四方の覆垂釜です
利休好 湯の釜 ・・たっぷりとした炉釜でこれぞ「茶の湯釜」といった趣です
芦屋 達磨釜 ・・達磨(数珠の親珠)を模した形で、お茶会の点心席で使われた燗鍋にも同様の形がありました
如心斎好 責紐釜 ・・貴人に献茶するときに釜の口を紐で封印することができる責紐釜は天命釜に始まります。この釜は如心斎所持の古鏡を蓋に見立てて、その蓋に合わせて釜を作ったものです。

利休から現代までの釜が続き、全体として侘びた風情の釜の中で、数十年前(有隣斎や即中斎好で浄中・浄心作)には少し華やかな雰囲気があり、当代作(坐忘斎や而妙斎好)にないりますとまた侘びてくるといった違いも楽しく拝見しました。

また当日は、年二回行われている、京釜特別鑑賞茶会が開催されました。初夏の風情で、主な道具組は次のとおりです。

掛物 青山緑水 了々斎筆
花入 竹一重切花入
花 馬の鈴
釜 田口釜
風炉 北村道陳伝来 唐銅朝鮮風炉
水指 祖母懐写 算木 樂弘入
茶器 黒大棗 覚々斎在判 一燈・玄々斎箱書
茶碗 御本三嶋 銘すだれ
替 黒平 銘松寿 樂旦入
茶杓 関翁宗拙作
菓子 紫陽花きんとん 嘯月
茶  峰の白 柳桜園

●展覧会情報

平成26年度春季特別展 開館十五周年記念 千家伝来の茶の湯釜
大西清右衛門美術館(京都市中京区)
2014年3月15日~2014年6月29日
http://www.seiwemon-museum.com/j/index.html

永青文庫コレクション 細川家 珠玉の名碗展

空の玄関は名碗でお出迎え

2014_m008_01

羽田空港第二旅客ターミナルの、家族連れで賑わうファストフードの喧噪を抜けたところに、美術館はあります。

ここ、ディスカバリーミュージアムは、細川家の歴史資料や美術品を管理する永青文庫の企画展を中心に開催しています。

内装は黒を基調としたシックな雰囲気で、それに合わせたように静かな場所で、クラシック音楽が流れます。

この静かな環境で、ゆっくりと作品を拝見していますと旅の疲れも癒される気がします。

今回は、「永青文庫コレクション 細川家 珠玉の名碗」というテーマで、永青文庫が保持する茶碗や細川家現当主の護煕氏が作られた茶碗がずらりと二十碗近くが展示されています。

どれも個性的なお茶碗で、さらにその中で次のお茶碗が印象に残りました。

井戸茶碗 銘五月雨
三島暦手平茶碗
木葉天目
油滴天目
茶碗 永楽善五郎作 細川護立(護煕氏祖父)絵付
信楽茶碗、刷毛目茶碗 細川護煕作

拝見が終わって美術館から外へ出ますと、再び空港の喧噪の中に戻り、まるで一時の夢のようでした。

ディスカバリーミュージアムでは、今後、「細川家の絵師たち」、「平家物語と太平記の世界」といった展覧会も予定しています。

 

●展覧会情報

第13回企画展示 永青文庫コレクション 細川家珠玉の茶碗
ディスカバリーミュージアム(東京都大田区)
2014年3月15日~2014年6月15日
http://www.discovery-museum.com/index.html

茶道美術の玉手箱 畠山記念館名品展

玉手箱を開けると

今年は、畠山記念会が開館50周年ということで、国宝3点(今回展示は2点)、重文9点(今回は3点)という記念の名品展が開催され、拝見して参りました。

まず目を引きましたのが、赤い釉薬と金で文様が描かれた「金襴手六角瓢形花入」です。

金襴手というと華やかで侘茶には向かないのではと思いますが、年を経て金地や赤地はほどよく擦れてしっとりとした印象で、これならばと思わせるのもでした。

たっぷりと大きく十字形の割高台が特徴の粉引で、元々は祭器だったのではとの説がある「割高台茶碗」は、織部所持ならではの破格の力強さがあります。

このお茶碗に合わせる茶入、茶杓、水指は・・と取り合わせを考えるのも楽しいです。

「茶杓 銘落曇 千利休作」は、今回拝見したかったもので、茶道具紹介「才色兼備の茶杓」で取り上げた「胡蝶」の作者が「利休さんの落曇の形に似る」と書かれた茶杓です。

確かに下がり節で、櫂先や竹の素材は異なりますが、全体は似た印象を受けました。

一足早く初夏の取り合わせも展示され、「一口ニ吸尽ス西江ノ水」から名付けられた「瀬戸面取茶入 銘吸江」と涼しげな「ととや茶碗 銘芳埜」も拝見できました。

また今回は、「玉手箱」に掛けて、春秋を描いた「夜桜蒔絵四半硯箱」と「菊枝蒔絵手箱」が展示されていました。

どちらも美しい蒔絵の箱で、玉手箱はこのような箱でがと思わせるものでした。

その他、国宝の「煙寺晩鐘図」と「大慧宗杲墨蹟 尺牘」、「呉須吉祥文共蓋水指」と見どころがたくさんあります。

後期は、益田鈍翁とのやりとりが楽しい「柿の蔕茶碗 銘毘沙門堂」、銘に縁のある「古瀬戸肩衝茶入 銘畠山」、「小堀遠州作 共筒茶杓 銘青苔」と
こちらも名品揃いで、見逃せない展覧会です。

 

●展覧会情報

平成26年度春季展 開館50周年記念 茶道美術の玉手箱 -畠山記念館名品展-
畠山記念館(東京都港区)
2014年4月5日~2014年6月15日
http://www.ebara.co.jp/csr/hatakeyama/index.html

栄西と建仁寺展

お茶はここから 茶祖、栄西

栄西と建仁寺

東京国立博物館にて「栄西と建仁寺」展を拝見してきました。

今年は建仁寺を開創した栄西(建仁寺では「ようさい」と読みます)禅師の八百遠忌を記念した、大規模な展覧会です。

栄西と建仁寺は、お茶ととても関わりが深く、お茶に関する展示も数多くありました。

会場に入りまして、最初の「禅林の茶」で実際の道具が揃えられた建仁寺の方丈が作られ、四頭茶会の会場がほぼそのまま再現されていて、驚きました。

四頭茶会は、茶道の原形である禅林の茶を象徴し、現代の茶会のルーツと呼べるものです。

方丈の正面には栄西禅師の頂相と龍虎図が掛けられ、三具足と献茶用の天目茶碗/台を載せた螺鈿の台、中央には大きな青磁の香炉と大香合が置かれます。

そして香炉を囲むように、四人一組の客が座り、四頭茶会が始まります。

まずこんにゃくとお菓子を入れた春慶塗の縁高と天目台に載せた天目茶碗を客一人一人に運びます。

その後、左手でお湯の入った浄瓶(じんびん)から客が持ったお湯を茶碗に注ぎ、そのまま右手で茶筅を使ってお茶を点てます。

その様子は会場のディスプレイで拝見することができ、僧侶が薄墨の衣の袂をひるがえしてお茶を点てる姿は、舞の所作のようでした。

 

他の展示では、栄西が中国から茶の種を持ち帰った漢柿蔕茶入が展示されていました。

この茶入が明恵上人に渡されて栂尾でお茶の栽培を行い、日本のお茶が始まったのだ、と思いを馳せました。

栄西が著した「喫茶養生記」の最古の写本も展示してあり、これがかの有名な・・と初めて拝見しました。

今回の展覧会では、四頭茶会、柿蔕茶入、喫茶養生記といったお茶の原点に触れた気がします。

 

また、お茶以外も、国宝「風神雷神図屏風」、若冲の日本画、白隠の書、建仁寺所縁の僧侶の坐像等々と見所が満載で、大変充実した展覧会でした。

 

【参考文献】

【参考サイト】

 
 

●展覧会情報

開山・栄西禅師800遠忌 特別展 栄西と建仁寺
東京国立博物館平成館(東京都台東区)
2014年3月25日~2014年5月18日
http://www.tnm.jp/

隠崎隆一 事に仕えて展

動き出しそうな-造形美

智美術館 入り口

智美術館 入り口

菊池寛実記念 智美術館にて隠崎隆一氏の個展「事に仕えて Serving for Integrity」を拝見してきました。

隠崎氏は、1950年(昭和25)、長崎県生まれで、デザイン会社勤務を経て、岡山県備前市で備前焼作家の伊勢﨑淳氏に師事し、独立後は岡山県瀬戸内市長船に窯を築いて昨陶活動を続けています。

今回は、1983年の修行時代からオブジェを含む最新作まで30年に渡る作品が並びます。

会場に入りますと、Zoiと名づけた大きなオブジェが向かえてくれ、茶碗や茶入、香合といった茶道具も少しありますが、多くはデザイン性の高い造形美に富んだ作品です。

それぞれの作品に、次のようにシリーズ名を付与しています。

  ・芯韻・・sceneを表現
  ・北想・・苦難に立ち向かう心を北に向かう鳥で表現
  ・zoi・・人間を表現
  ・ファランクス・・古代ギリシャの重装歩兵の密集陣形のイメージを表現
  ・双・・一双の形を表現
  ・水蛭子・・神話イメージを表現

これらのシリーズを実現するために隠崎氏は、穴窯/登窯/電気窯、山土/田土/その他をブレンド、ロクロ/手捻り/表面の削り等のようなさまざまな技法を組み合わせて作っています。

備前焼の材料は、通常田土と呼ばれるきめ細かい土を使うのですが、隠崎氏は外部参入者ということで田土をなかなか確保できず、荒い土である山土や混淆土をブレンドして使っています。

逆にそのような制限から、荒々しい様子や岩石のような佇まいといった、さまざまな土の表情・素材感を表現しています。

隠崎氏の作品は、頭や足と見られるような造形が多く、あたかも人や人物のようで、今にも動きだしそうな印象を受け、夜中にこの会場を散歩したり、作品同士で会話をしているような想像をしてしまいました。

今回の展覧会のタイトルの「事に仕えて」は、解説では、「『自然への畏敬の念とあるがままの心を表現すること』という隠﨑氏の作陶理念を表した言葉です」とあり、また英語のタイトルの「Integrity」の意味の「誠実・健全・清廉」は隠崎氏の信念ではないかと思いました。

  

●展覧会情報

隠崎隆一 事に仕えて
菊池寛実記念 智美術館(東京都港区)
2014年1月18日~2014年3月30日
http://www.musee-tomo.or.jp/index.html

  

智美術館に隣接する西洋館

智美術館に隣接する西洋館

茶と美 柳宗悦の茶展

民藝の茶、棟方志功の茶

茶と美―日本民藝館入り口

東京目黒の日本民藝館にお伺いしまして「茶と美 -柳宗悦の茶-」展を拝見して参りました。

日本民藝館は、民藝運動の中心的役割を果たした柳宗悦氏(1889年(明治22)-1961年(昭和36))により、1936年(昭和11)に創設されました。

民藝館は柳宗悦氏の邸宅に隣接され、美術館然としておらず、展示品はガラスの戸棚に配置され、解説カードは朱墨で手書きで書かれ、まるで大きな旧家に訪れたようです。

現代的な美術館と違い、懐かしく、心なごむ思いがしました。

今回の展覧会は、「茶と美」ということで、民藝の茶道具が数多く展示され、拝見する機会が少ない民藝のお茶を知ることができました。

畠山記念館や根津美術館にあるような選び抜かれ研ぎ澄まされた茶道具と比べまして、そのほとんどが大振り、厚手、ゆったりという印象を受けました。

そして今回は、棟方志功氏(1903年(明治36)-1975年(昭和50))の茶道具も展示されており、井戸茶碗「胸形」を始め茶道具がならび、本格的にお茶に打ち込んでいらっしゃった様子が窺えました。

棟方氏がお茶をされていたことは、今回の展示で初めて知ることができ、驚きました。

また、柳氏がよく書かれたという、お茶の心得「點茶心指」が展示されていました。

自分が驕って「一フクマイラスナ」になっていないか自戒しなければと痛感しました。

日本民藝館~梅の花

「點茶心指」

一フクマイラス
捨テ身ナル聖へ
僧堂ノ行者ヘ
心澄メル比丘尼ヘ
求道ナル居士ヘ
貧シキ道友ヘ
老イタル佳人ヘ
素直ナル若人ヘ
心篤キ娘子ヘ
媚ビザル主ヘ
ツマシキ田舎人ヘ

(一フクマイラス)ナ
金ボコリニハ
エセ宗匠ニハ
青白キ茶坊主ニハ
巧者ブル小茶人ニハ
溺ルル茶数奇ニハ
物見エヌ物狂ヒニハ
高ブル学士ニハ
派手ナル女房ニハ
欲深キ商人ニハ
ヘツラヘル輩ニハ

【参考図書、URL】

茶と美について
茶と美 柳宗悦著 講談社学術文庫

展覧会のタイトルの元になった本
「喜左衛門井戸を見る」では有名な、
「それは朝鮮の飯茶碗である。下手物である。典型的な雑器である」
という文章があり、井戸茶碗=雑器という説が広まりました
最近では、井戸茶碗は「祭器」ではないかとの説もある

柳宗悦茶道論集 柳宗悦著 岩波文庫

柳宗悦について
柳宗悦 中見真理著 岩波新書

民藝について
民藝とは何か 柳宗悦著 講談社学術文庫

棟方志功について
棟方志功の眼 石井頼子著 里文出版
棟方氏のお孫さんが書かれた本です
石井氏は今回の展示に協力し、記念茶話会も開催しました。

棟方志功記念館(青森県青森市)

 

【展覧会情報】

茶と美 -柳宗悦の茶-
日本民藝館(東京都目黒区)
2014年1月10日~2014年3月23日
http://www.mingeikan.or.jp/

日本民藝館

 

千少庵没後400年記念 利休とその系譜展

千家の茶-侘びの中の力強さ

千少庵没後400年記念 利休とその系譜

まだ雪が残る畠山記念館にて、「千少庵没後400年記念 利休とその系譜」を拝見して参りました。

2014年は、少庵没後400年ということで、今回は千利休居士(1522-1591)や千少庵(1546-1614)、千宗旦(1578-1658)所有の道具や消息といった縁の品々を中心とした展覧会です。

特に印象に残りましたのは点前道具で、いずれも利休居士が直接手にしたであろうと想像できます。

熊川茶碗 銘若草 ・・・利休所持
信楽共蓋水指 ・・利休所持
利休作茶杓 ・・筒小堀遠州
竹蓋置 ・・利休直書

400年以上の時を経て枯れた印象を持つのではと思っていましたが、どれも侘びてはいても力強さを感じました。

今回の展示にありました、千道安(1546-1607)の竹一重切花入や少庵の茶杓、一入の黒樂茶碗にも感じました。

畠山記念館の展示は、茶事の流れを表現し、
掛物→釜・炭道具→懐石道具→濃茶→薄茶の各道具が展示されている場合が多いです。
(今回、炭道具はお雛さまに展示替)

ところが濃茶で使う茶入が展示されておらず、探しましたら、少庵、宗旦直書の黒小棗や記三の黒棗を見つけ、棗の濃茶とは千家らしい詫びた趣向と一人で納得しました。

他にも利休居士の消息、宗旦の画賛、道安の瓢花入、真塗茶桶形水指、真塗手桶形水指と千家ゆかりの道具が展示され、お勧め致します。

またお呈茶も併せてお勧めで、展示室内のお茶室で薄茶一服とお菓子をいただけまして、心落ち着く一時を味わえます。

 

●展覧会情報

千少庵没後400年記念 利休とその系譜
畠山記念館(東京都港区)
2014年1月18日~2014年3月16日
http://www.ebara.co.jp/csr/hatakeyama/index.html

畠山記念館

雪が残る畠山記念館の庭

五島美術館 茶道具取合せ展(平成25年度)

名品と名物裂と百貨店の茶室

五島美術館「茶道具取合せ展」

東京世田谷の五島美術館で「茶道具取合せ展」を拝見して参りました。

<名品の数々>
展示室に五島美術館の茶室を再現し、茶事をイメージした、向付や鉢といった懐石道具を始め、炭道具、掛物、点前道具まで数多くの茶道具が展示されていました。
名品揃いで、全て紹介したいところ、特に印象深い道具を挙げます。

・古伊賀水指 銘「破袋」
古田織部(1544-1615)が見出した破格の水指で、その迫力、ダイナミックな造形はなかなか言葉では伝え難いです。
関東大震災で焼失した古田織部の添え文の写真が展示されてあり、その文のとおり、「今後これほどのものはない」という水指です。

・瀬戸瓢形茶入 銘「春慶瓢箪」
中興名物で愛らしい瓢箪形の茶入です。

・伯庵茶碗 銘「冬木」
江戸幕府の医官曾谷伯庵(1569-1630)が所持した伝来から、伯庵茶碗と呼ばれる、堂々したお茶碗です。
小堀遠州(1579-1647)の箱書が付き、松平不昧(1751-1818)も古今名物類従に記事を書いたという名碗です。
五島美術館は、伯庵茶碗「朽木」も保有しています。

・鼠志野茶碗 銘「峯紅葉」
亀甲文と桧垣文のお茶碗で、鼠志野茶碗の中で名碗と思います。

<名物裂>
名物裂を収めた裂箪笥の展示があり、箪笥とともに名物裂も拝見できました。
裂箪笥は鴻池家伝来で、昭和8年以来の公開という貴重なチャンスです。
箪笥には引き出しに「古金襴」、「緞子」、「漢島」と書かれてあり、中にしまわれている次のような名物裂も展示されていました。
  金襴:大徳寺金襴、白地二重蔓牡丹金襴
  緞子:珠光緞子、道玄緞子
  漢島:鎌倉間道、望月間道

<映画の茶道具>
映画美術として制作され、映画「利休にたずねよ」で使用された次の茶道具が展示されていました。

・緑釉の香合
映画で重要な役割を持つ小ぶりな香合です。緑色が綺麗です。

・井戸茶碗、熊川茶碗
リハーサルや転がすといった本物のお茶碗が使えないときに使用した、写しの茶碗です。

・伊賀耳付花入
映画で利休が耳を欠いた花入で、片側の耳が欠けていました。

<百貨店の茶室>
取合せ展に、井戸茶碗 銘「いはほ」、別名「東横井戸」という茶碗が展示されていました。
解説には東横百貨店(現東急百貨店東横店)で茶室披きをする際に、五島慶太氏(1882-1959)が表千家十三代家元の即中斎宗匠(1901-1979)に銘をつけていただたことからの別名とのことで、今回、初めて知りました。
現在、百貨店のお茶室は・・と考えて、知る範囲では新宿の京王百貨店しか思いつきません。
当時は他の百貨店にもお茶室を持っていたのでは・・

●茶道具取合せ展
五島美術館(東京都世田谷区)
2013年12月7日~2014年2月16日
http://www.gotoh-museum.or.jp/

五島美術館 雪

珍しく雪化粧の五島美術館

 

映画「父は家元 遠州流茶道 綺麗さびの世界」

衒いなく描いた現代のお茶

「父は家元」チラシ

遠州流茶道家元である小堀宗実氏とそのご家族を中心とした、遠州流宗家の一年のドキュメンタリーです。

お家元が自ら結び柳を作る正月の点初め(初釜)に始まり、遠州忌、勉強会、子ども茶道教室、炉開き・・そして大晦日の埋火までの一年の行事を四季の景色や茶花と共に、次のシーンを織り込んで描いています。

・高層ビルの最上階にあるオラクル社の茶室での茶事の様子
・板東三津五郎氏、熊倉功夫氏、松岡正剛氏といった各界著名人のインタビュー
・お家元の茶室設計指導の様子
・ロータリークラブでの添釜
・お弟子さんからひとこと
・海外でのお茶のデモンストレーション

これらの中で、特に印象に残りましたのは、お家元が茶室設計を指導されている姿とお家元がご家族にお茶を教えている様子です。

茶室設計では、お茶のルールを守りつつ新しい技術や工夫を取り込んで、お茶の空間を作りだすために、どのように心配りをしているかが分かりました。

またご家族へお茶を教えることにより、このようにお茶の伝統が伝わっていくのだなと実感しました。お家元とご長男が行った大晦日の埋火は「伝える」を象徴したシーンだと思います。

お茶に興味のある方や海外の方にお茶を伝えるには、演出した歴史ドラマよりも、衒いなく現代のお茶を描いた、この映画をお勧めします。ぜひご覧くださいませ。

◆映画「父は家元」公式サイト http://chichihaiemoto.com/
2014年1月25日より全国ロードショー

[当サイトでは映画のカテゴリが無いため、展覧会ページに掲載させていただきました]